結晶の成長と核生成 の支配方程式は『J. Nývlt (1968) Kinetics of Nucleation in Solutions. Journal of Crystal Growth, 3 – 4, 377 – 384』にも記載されており、結晶の核生成と成長速度の決定において結晶の表面積が重要な役割を果たすことを示しています。晶析プロセスの開始時は、スラリー内にある結晶の表面積は小さくなっています。つまり速度係数にかかわらず、核生成が成長よりも支配的であることを示します。 晶析が進むと表面積が大きくなり、成長速度が大きくなります。リニアな冷却速度を晶析プロセスに適用すると(右に示す)、成長に使用できる表面積がない場合に、晶析初期には過飽和を蓄積することができます。 この蓄積によって、しばしば予測不能な晶析速度が見られます。ここでは多くの場合、核形成が支配的です。
成長を強化するための優れた技術は、最初の表面積が限られているときに非常にゆっくりと冷却することです(右に示す)。 この処理によって過飽和が低く抑えられ、成長が支配的になります。一定時間後に表面積が大きくなったら冷却速度を上げて、成長を優先させながらバッチ処理時間を抑えることができます。この手法では、過飽和の制御と過剰な核生成の適切なバランスを取りながら、非常に長いバッチ処理時間を回避することができます(P. Barrett, B. Smith, J. Worlitschek, V. Bracken, B. O’Sullivan, and D. O’Grady (2005) A Review of the Use of Process Analytical Technology for the Understanding and Optimization of Production Batch Crystallization Processes. Organic Process Research & Development, 9(3), 348 – 355)。このアプローチの欠点の1つは、ノンリニアの冷却または貧溶媒滴下プロファイルをプラントで実装することが難しく、プロセスが複雑になることがある点です。 ただし、使用する傾斜の数を少なくすることで同様の結果を得ることができます。
プロセスを通じて過飽和を一定に維持するためにノンリニアの冷却速度を実現することの価値は、過飽和を一定に保つためにプロセス温度を調整するフィードバック制御により実証されています。そのような結果については『V. Liotta and V. Sabesan (2004) Monitoring and Feedback Control of Supersaturation Using ATR-FTIR to Produce an Active Pharmaceutical Ingredient of a Desired Crystal Size. Organic Process Research & Development, 8(3), 488 – 494. Copyright (2004) American Chemical Society』に説明があります。ここでは制御アルゴリズムを使用し、一定の過飽和で晶析プロセスを実行しています(左に示す)。この例では、過飽和をin situ FTIR "ReactIR"を使用してモニタリングしています。得られた結果の温度プロファイルは非線形で、初期は低速、終わりに近付くにつれて高速になります。
このホワイトペーパーでは、一般的な粒子サイズ分析の手法と、この手法を使用して高品質の粒子を提供する方法について説明します。オフライン粒子サイズ分析装置と工程内粒子特性評価ツールを組み合わせることでプロセスを最適化する事例が含まれています。
晶析の単位操作で最適な結晶サイズと形状分布を目指し制御することで、以下を実現することができます。
多形は、製薬業界やファインケミカル業界における多くの結晶性固体で一般的な現象です。化学者は、目的の多形体を意図的に結晶化させることで、分離特性を強化し、ダウンストリームのプロセスでの課題を克服し、バイオアベイラビリティを高め、あるいは特許抵触を防ぐことができます。多形転移と形態転移をin-situおよびリアルタイムに識別することで、予期せぬプロセスの混乱や、スペックアウトの製品、コストの高い原料のプロセスのやり直しなどを排除できます。
科学者は高価な化合物を再晶析化して、目的の物理特性を持つ結晶生成物を最適なプロセス効率性によって取得します。最適な溶媒の選択から乾燥した結晶生成物の取得まで、適切な再晶析プロセスの設計には7つのステップが必要になります。この再晶析ガイドでは、再晶析プロセスを進める手順を段階ごとに説明しています。再晶析の各ステージでどのような情報が必要かについて解説し、重要なプロセスパラメータの制御方法についての概要も述べます。
溶解度曲線は一般的に溶解度、温度、溶媒の種類の関係性を示すのに用いられます。温度と溶解度の関係性をグラフにすることで、科学者は求める晶析プロセスの開発に必要なフレームワークを作成できます。適切な溶媒を選定すると、溶解度曲線は効果的な晶析プロセスの開発にとって不可欠なツールとなります。
科学者や技術者は、プロセス中の過飽和レベルを注意深く調整することにより、晶析プロセスを制御できます。過飽和は晶析の核生成や成長の原動力であり、最終的な結晶粒度分布を絶対的に決定付けます。
インプロセスのプローブベース技術ではサンプリングや希釈を行なう必要がなく、原液濃度で粒度や形状の変化を追跡するために利用されます。粒子や結晶に生じる変化の速度や程度をリアルタイム追跡することで、晶析性能のプロセスパラメータを最適化できます。
種晶添加は、晶析挙動の最適化における最も重要なステップの1つです。種晶添加戦略を設計する場合は、種晶サイズ、種晶の量(質量)、種晶添加温度などのパラメータを考慮する必要があります。これらのパラメータは、通常はプロセス速度と希望する最終的な粒子特性に基づいて最適化され、スケールアップや技術移転の際には一貫性を維持しなければなりません。
液液相分離、つまりオイルアウトは、晶析操作で発生する可能性のある、多くの場合検出が困難な粒子メカニズムです。詳しくはこちらへ
貧溶媒晶析では、溶媒の滴下速度、滴下場所、攪拌が、容器やパイプライン内部での局所的過飽和に影響を与えます。科学者やエンジニアは、貧溶媒滴下プロトコルおよび過飽和度を調整することで結晶サイズと個数を変更しています。
晶析装置のスケールや混合条件を変更すると、晶析プロセスの反応速度や最終的な結晶サイズに直接影響を及ぼす可能性があります。 熱や物質移動の影響は、冷却システムおよび貧溶媒システムでそれぞれ考慮することが重要です。このようなシステムでは、温度や濃度勾配により過飽和度に不均等性が生じる可能性があるからです。
Lactose crystallization is an industrial practice to separate lactose from whey solutions via controlled crystallization.
適切に設計されたバッチ晶析プロセスは、求められる結晶粒度、収率、形状および純度を得ながら製造規模にうまくスケールアップすることができます。バッチ晶析の最適化には、晶析装置の温度(または溶媒組成)の適切な制御の維持が重要です。
The MSMPR (Mixed Suspension Mixed Product Removal) crystallizer is a type of crystallizer used in industrial processes to produce high-purity crystals.