再晶析は、不要な不純物を含む母液から高価な結晶生成物を分離する精製法です。厳密には、再晶析は最初に固化された結晶性物質の溶解、晶析を再び行い、目的の粒度、形状、純度、収率の結晶を最終的に生成するプロセスです。基礎となるメカニズム、溶解、再晶析では、結晶の内部的なエネルギーも最小化することでより全域的なエネルギー均衡を達成し、安定した多形体に結びつきます。通常、再晶析は結晶を最適化するために意図的に適用されますが、制御不全の再晶析は不要な水和物や溶媒和物の形成や多形転移の原因にもなります。
再晶析は、不要な不純物を含む母液から高価な結晶生成物を分離する精製法です。厳密には、再晶析は最初に固化された結晶性物質の溶解、晶析を再び行い、目的の粒度、形状、純度、収率の結晶を最終的に生成するプロセスです。基礎となるメカニズム、溶解、再晶析では、結晶の内部的なエネルギーも最小化することでより全域的なエネルギー均衡を達成し、安定した多形体に結びつきます。通常、再晶析は結晶を最適化するために意図的に適用されますが、制御不全の再晶析は不要な水和物や溶媒和物の形成や多形転移の原因にもなります。
この7つのステップによる再晶析ガイドには、最適な生成物とプロセスパフォーマンスを実現する効率的な再晶析プロセスを設計するために不可欠な情報が含まれています。
再晶析の最初のステップでは、次のような特性に基づいて溶媒を選択します。
溶質はその分子構造に応じて、溶媒または混同溶媒における溶解度が「溶性」、「部分的に溶性」、または「不溶性」に分類されます。この熱力学的関係を理解するには、溶質の温度依存の溶解挙動を幅広い各種の溶媒で査定する必要があります。溶解度は、室温で高いまたは低い場合、温度に応じた増加関数である場合と、温度にほぼ依存しない場合があります。ハイスループットスクリーニングの手法によって、大量の溶質/溶媒系の溶解度データを迅速に測定できます。
A. 冷却再晶析
溶質/溶媒系は、低温下でその溶解度が低い反面その溶解度が高温で高い場合、冷却再晶析に適しています。大量の溶質が高温で溶解し低温での溶解度が低いことから、制御された冷却によって再晶析を起こすことができます。高温で分解し温度の影響を受けやすい溶質は、冷却再晶析に適しません。
B. 貧溶媒滴下再晶析
溶質/溶媒系は、低温下でその溶解度が高く、貧溶媒と混和性がある場合、貧溶媒滴下再晶析の要件に適合します。貧溶媒を制御しながら滴下することで、混合物の溶解度が低減し再晶析が起こります。一般的な2つの方法は、生成物溶液への貧溶媒の滴下、または貧溶媒への生成物溶液の滴下(逆滴下)です。貧溶媒滴下再晶析の短所は、溶媒の増加につながること、滴下点での局所的な高い過飽和、容量的な生産性の低下、ダウンストリームでの溶媒分離の必要性が生じることです。
C. 蒸発再晶析
低温下で溶解度が高く貧溶媒に対応できなければ、多くの場合に蒸発再晶析が必要になります。溶媒の除去によって残余混合物での溶解度が低下し、十分な過飽和が生成されると再晶析が発生します。蒸発再晶析における課題には、核生成の原因となる気泡の発生、シーディング点の予測が困難なこと、予測不可能なスケールアップがあります。
D. 反応(沈殿)再晶析
2つの錯化合物間の化学反応または酸/塩基中和により目的の溶質が生成される場合、この方法を反応再晶析と呼びます。化学反応の進行によって溶質の過飽和が増加し、これにより最終的に再晶析に至ります。過飽和の生成は非常にフラットにもなるため、混合点における局所的に高い過飽和、広範での核生成、不十分なプロセス制御、ダウンストリームの困難な処理につながります。
化合物の溶解挙動を理解することは、再晶析プロセスを着実に進展させるための重要な要件です。溶媒に溶存可能な溶質の量や最終段階で母液に残る溶質の量についての知識は、再晶析の効率性を査定する上で欠かせません。晶析における溶解度とは、特定の温度で所定量の溶媒に溶存可能な溶質の最大量のことです。
溶存する溶質の濃度が特定の温度で溶解度の限度を超えるとき、溶液は過飽和状態になります。速度論に応じて、溶液は特定の温度と時間の範囲で再晶析に達するまで過飽和のままの状態を維持します。過飽和の生成から最初の結晶の形成までの経過時間を、誘導時間と呼びます。過飽和が増大すると、過飽和度がさらに増加した直後に結晶が自発的に生じる点まで、誘導時間が短縮します。この点は準安定領域として定義され、溶解度曲線と過溶解度曲線との差異が準安定領域幅となります。
再晶析では、目的の物理的性質を持つ最終生成物を得るために、過飽和、核形成、成長を綿密に制御する必要があります。再晶析プロセスを確実に反復的に始めるには、多くの場合、種結晶の助けが欠かせません。種晶を用いないプロセスでは制御不全の自発的な核形成が見られることが多く、特にスケールアップや大規模な製造の際に、プロセスの極端な変動の原因になる場合があります。通常は、以下のシーディング方法が適用されます。
効果的なシーディングは、種晶の添加の方法と時間、種晶素材の品質、過飽和の発生率に依存します。シーディングは、結晶をシードスラリーとして途中で準安定領域に添加する場合に最も効果的です。種結晶は、均一な粒度であること、再晶析を起こすために表面が滑らかであることが求められます。多くの再晶析プロセスでは種晶のエージングが有利に働きますが、そこではシーディング後に過飽和が続かずにほぼなくなるまで温度が一定に保たれます。
商品としての結晶製品を最も低コストで生産するには、プロセス時間、エネルギー消費、廃棄物を最小化すること、最適なリソース配分、高いプロセス収率が重要なパラメータになります。相図で高収率の最終点に達するように、溶解度のデータに基づき1つまたは複数の再晶析方法(冷却、貧溶媒滴下、蒸発、反応など)を適用します。
過飽和度の綿密な制御と結晶に際しての粒子メカニズムに対する理解は、ダウンストリームでのパフォーマンスを最適にする効率的な再晶析プロセスの設計に欠かせません。
大半の再晶析プロセスでは、固体粒子が目的の生成物ですが、それをろ過によって母液から分離する必要があります。効率的なろ過プロセスの基本的な要件を以下に示します。
ろ過後に、通常は蒸発しやすい貧溶媒でケークを洗浄することで、残存する母液を除去し乾燥工程をスムーズにします。
湿ったフィルタケークから蒸発によって水分を除去する工程は、多くの場合、使用に耐える結晶製品に至る前の最終的な製造ステップになります。医薬品有効成分(API)分子と結晶の熱的/力学的な安定性、溶媒のタイプ、そして多形転移のリスクに応じて、適切な乾燥メソッド(大気または真空)を適用します。
晶析プロセスは、外見上、スムーズに進行しているように見えるかもしれません。しかし通常は隠れた晶析メカニズムが発生しており、最終的な結果に劇的に影響する可能性があります。
この実践ガイドでは、晶析プロセスに影響する可能性のある7つの隠れたメカニズムと、それらを制御する戦略について説明します。
再晶析は複数のステップをまとめた手順で、目的の特性を持つ最終生成物を得るためは、効果的なプロセス制御が必要となります。In Situプロセス分析技術(PAT)による再晶析ワークステーションでは、すべての重要なパラメータの制御が可能になります。
in situ PATを備えた再晶析ワークステーションでは、サンプリングの必要性を最小化し、直接的な解釈に必要なリアルタイムのプロセスデータを取得して、オフラインでの分析作業の時間などの開発コストを大幅に削減できます。継続的なデータ収集によってプロセスのより具体的な内容が明らかになることで、プロセスを深く理解できます。統合ソフトウェアソリューションにより、再晶析の全自動化(フィードバック制御ループ)と安全な終夜運転が可能になります。