晶析装置のスケールや撹拌条件の変更は、晶析プロセスの反応速度や最終的な結晶サイズに直接影響を及ぼす可能性があります。 電熱速度や物質移動速度の影響は、冷却晶析および貧溶媒晶析でそれぞれ考慮することが重要です。温度や濃度勾配により過飽和の優勢レベルに不均等性が生じる可能性があるからです。これはしばしば、冷却晶析の容器の壁の近く、または貧溶媒(および反応)晶析の添加位置に、極めて高い過飽和のポケットを生じさせます。
高過飽和のポケットは、大規模晶析装置の特定領域で極めて高い核形成と成長率を引き起こす可能性があり、最終的な結晶粒度分布は、開発中のラボでの良好な混合環境で達成されたものと劇的に異なることがあります。 右のグラフに示すように、同じ晶析プロセスで500mLのリアクタから2Lのリアクタに変更すると、ParticleTrackによって可視化される予想外の核形成イベントが発生します。また、バッチ全体で生成される微粒子の数も極めて多くなっています。
局部的な過飽和の発生が晶析に及ぼす影響をここに示します。ここでは、貧溶媒晶析システムの非シード晶析の核形成ポイントの繰返し性が示されています。このプロセス(右)では、貧溶媒をリアクタの壁の近くで特に高添加速度で添加されると核形成ポイントの一貫性がなくなり、3回行われたこれらの実験で幅の広いエラーバーが見られました(D. O’Grady、M.)Barrett、E. Casey、B. Glennon。(2007)The Effect of Mixing on the Metastable Zone Width and Nucleation Kinetics in the Anti-solvent Crystallization of Benzoic Acid(安息香酸の貧溶媒晶析における準安定領域幅と核形成速度に対する混合の影響)。Chemical Engineering Research and Design、85, 945 – 952)。加えて、貧溶媒をより低い貧溶媒濃度で晶析装置の壁近くに添加すると、核形成が一貫して発生します。この2つの結果に関する理由は、貧溶媒が壁の近くに添加されたときに、晶析装置の混合条件により貧溶媒が簡単に取り込まれなくなり、添加場所で過飽和が発生するからです。
一貫性が失われる理由は、貧溶媒がどのようにリアクターに添加され混合されるかに依存します。この動画(左)は、上記(中心および壁)の両方の添加位置についての計算流体力学(CFD)のトレーサー実験を示しています。貧溶媒が壁の近くに添加されると、リアクター全体に効率的に取り込まれることが難しくなります。貧溶媒が撹拌翼の近くに添加されると、貧溶媒はただちにリアクター全体に拡散され取り込まれます。この晶析システムの場合、貧溶媒の取り込みにおける違いと、それに伴う容器内の局所的過飽和の違いが、核形成と、晶析プロセスの一貫性に大きな違いを生み出しています。
物質移動の影響に加えて、晶析装置のせん断速度が、破砕のような結晶に物理的な影響を及ぼす可能性があります。結晶の破砕は、システム内の固形物濃度とせん断速度によって発生します。スケールと撹拌条件が変化すると、固形物濃度とせん断速度の勾配が重要になります。つまり、晶析プロセスのスケールアップに伴って多かれ少なかれ破砕が起きる可能性があります。この例(右)では、 連続晶析プロセスのためにFBRM技術(ParticleTrack)を使用して得られたコード長分布が、3つの異なる撹拌強度に対して示されています(E. Kougoulos、A.G. Jones、M.W. Wood-Kaczmar (2005) Estimation of Crystallization Kinetics for an Organic Fine Chemical Using a Modified Continuous Cooling Mixed Suspension Mixed Product Removal (MSMPR) Crystallizer(改良型連続冷却混合懸濁液混合製品除去(MSMPR)晶析装置を用いた有機微細化学物質の結晶化反応速度の推定)、Journal of Crystal Growth、273巻、3 – 4号、2005年1月3日、520~528ページ)。 撹拌とそれに伴うせん断速度が増すと、分布は左にシフトし、微細結晶数が増えます。これは結晶の破砕を示します。この結果は一般的です。 ただし、撹拌の強度はスケーラブルなパラメータではないため、容量の変化に伴うこのような挙動は予測が困難です。
このホワイトペーパーでは、一般的な粒子サイズ分析の手法と、この手法を使用して高品質の粒子を提供する方法について説明します。オフライン粒子サイズ分析装置と工程内粒子特性評価ツールを組み合わせることでプロセスを最適化する事例が含まれています。
晶析の単位操作で最適な結晶サイズと形状分布を目指し制御することで、以下を実現することができます。
多形は、製薬業界やファインケミカル業界における多くの結晶性固体で一般的な現象です。化学者は、目的の多形体を意図的に結晶化させることで、分離特性を強化し、ダウンストリームのプロセスでの課題を克服し、バイオアベイラビリティを高め、あるいは特許抵触を防ぐことができます。多形転移と形態転移をin-situおよびリアルタイムに識別することで、予期せぬプロセスの混乱や、スペックアウトの製品、コストの高い原料のプロセスのやり直しなどを排除できます。
科学者は高価な化合物を再晶析化して、目的の物理特性を持つ結晶生成物を最適なプロセス効率性によって取得します。最適な溶媒の選択から乾燥した結晶生成物の取得まで、適切な再晶析プロセスの設計には7つのステップが必要になります。この再晶析ガイドでは、再晶析プロセスを進める手順を段階ごとに説明しています。再晶析の各ステージでどのような情報が必要かについて解説し、重要なプロセスパラメータの制御方法についての概要も述べます。
溶解度曲線は一般的に溶解度、温度、溶媒の種類の関係性を示すのに用いられます。温度と溶解度の関係性をグラフにすることで、科学者は求める晶析プロセスの開発に必要なフレームワークを作成できます。適切な溶媒を選定すると、溶解度曲線は効果的な晶析プロセスの開発にとって不可欠なツールとなります。
科学者や技術者は、プロセス中の過飽和レベルを注意深く調整することにより、晶析プロセスを制御できます。過飽和は晶析の核生成や成長の原動力であり、最終的な結晶粒度分布を絶対的に決定付けます。
インプロセスのプローブベース技術ではサンプリングや希釈を行なう必要がなく、原液濃度で粒度や形状の変化を追跡するために利用されます。粒子や結晶に生じる変化の速度や程度をリアルタイム追跡することで、晶析性能のプロセスパラメータを最適化できます。
種晶添加は、晶析挙動の最適化における最も重要なステップの1つです。種晶添加戦略を設計する場合は、種晶サイズ、種晶の量(質量)、種晶添加温度などのパラメータを考慮する必要があります。これらのパラメータは、通常はプロセス速度と希望する最終的な粒子特性に基づいて最適化され、スケールアップや技術移転の際には一貫性を維持しなければなりません。
液液相分離、つまりオイルアウトは、晶析操作で発生する可能性のある、多くの場合検出が困難な粒子メカニズムです。詳しくはこちらへ
貧溶媒晶析では、溶媒の滴下速度、滴下場所、攪拌が、容器やパイプライン内部での局所的過飽和に影響を与えます。科学者やエンジニアは、貧溶媒滴下プロトコルおよび過飽和度を調整することで結晶サイズと個数を変更しています。
晶析装置のスケールや混合条件を変更すると、晶析プロセスの反応速度や最終的な結晶サイズに直接影響を及ぼす可能性があります。 熱や物質移動の影響は、冷却システムおよび貧溶媒システムでそれぞれ考慮することが重要です。このようなシステムでは、温度や濃度勾配により過飽和度に不均等性が生じる可能性があるからです。
Lactose crystallization is an industrial practice to separate lactose from whey solutions via controlled crystallization.
適切に設計されたバッチ晶析プロセスは、求められる結晶粒度、収率、形状および純度を得ながら製造規模にうまくスケールアップすることができます。バッチ晶析の最適化には、晶析装置の温度(または溶媒組成)の適切な制御の維持が重要です。
The MSMPR (Mixed Suspension Mixed Product Removal) crystallizer is a type of crystallizer used in industrial processes to produce high-purity crystals.