図1: 植物由来の代替肉・乳製品の製造プロセスの簡略図
原料
代替肉の場合は乾式粉砕、代替乳製品の場合は湿式粉砕
均質化、混合、香り付け
水、油、蒸気のいずれかによる前処理
加工: 通常、代替肉の場合は押出成形、代替乳製品の場合はろ過と殺菌
代替肉
代替乳製品
植物由来食品とは、従来は肉、卵、乳製品などの動物性たんぱく質が使われていた食品を、主に植物由来の持続可能なたんぱく源で代替したものです。豆腐、豆類、穀物、野菜、小麦粉などの一般的な植物由来食品だけでなく、藻類やマイコプロテインなどの画期的な原料を使用することで、特定の種類の肉、チーズ、乳、卵、バター、ヨーグルトなどに匹敵する味、食感、色、栄養的側面が得られるように作られています。この市場は今後も成長が続くため、植物由来食品・飲料の詳細な原料を特定し消費者の動向に敏感で影響を及ぼせる企業は、利益を得ることができます。
健康や環境の持続可能性、動物福祉に対する懸念から、世界中のあらゆる地域で植物由来食品への移行が進んでいます。植物由来食品の開発において、健康上の懸念に対処するためには、食品のラベル表示が地域の基準を満たし、パッケージに正しい栄養素含有量が表示されている必要があります。したがって、健康上の理由で乳製品や肉の代替品の利用を考える人にとっては、植物由来食品の品質管理や分析が特に重要です。少ない資源(エネルギー、水、土地など)を使用して生産された食品を希望する消費者は一定数存在するため、温室効果ガスの排出量削減に対する要望が、植物由来食品の分析を後押ししているとも考えられます。
このようなニーズを満たすため、メトラー・トレドは、植物由来食品・飲料開発のライフサイクル全体にわたってサポートするように設計された研究室用機器の製品ラインアップを用意しています。研究室から製造施設までにわたって植物性原料の分析と調合をサポートし、ラベル表示の正確さを目的とした個々の栄養の定量化など、原材料や新規の材料の正確な評価を支援します。
図1: 植物由来の代替肉・乳製品の製造プロセスの簡略図
原料
代替肉の場合は乾式粉砕、代替乳製品の場合は湿式粉砕
均質化、混合、香り付け
水、油、蒸気のいずれかによる前処理
加工: 通常、代替肉の場合は押出成形、代替乳製品の場合はろ過と殺菌
代替肉
代替乳製品
植物由来食品の開発やテストの際に、研究開発や品質管理の研究室で使われることの多い分析とアプリケーションは、以下の通りです。
HPLC/GC分析のレシピ調合やサンプル調製で重要となる場合があります。
材料や製品の品質確認や保存期間を決定するため、ハロゲン(赤外線)水分計を利用した水分率測定、乾燥減量法、カールフィッシャー滴定を使用します。
ナトリウム含有量測定やケルダール法によるたんぱく質定量の場合は滴定、ブドウ糖/果糖やビタミン含有量にはUV-VIS測定、脂肪(ソックスレー法など)、灰分・繊維含有量測定用には天びんが利用できます。
密度、屈折率、融点、UV-VIS分光光度法など。
保存期間の確認に役立てるため(植物由来食品の新規材料を使用する際には特に重要な場合がある)、pHメータ、天びん、ピペットを使用します。
保存期間研究にTMA/TGA、化合物特性評価にはDSCなどの熱分析装置を利用します。
植物性プロテイン製品の安全性、食感、風味を確保します。pH測定は、最終製品の貯蔵寿命を確認するための品質管理においても重要です。
植物由来食品は果実、野菜、ナッツ、種子、穀物、葉、豆などの植物原料に由来する、動物性食品をまねて作られた食品で、いわゆる機能性食品も含まれます。近年、動物性たんぱく質が多く含まれる食品を消費することに対する健康上・環境上の影響について、消費者の関心が高まりつつあり、植物由来食品が注目を浴びています。
植物由来食品には、肉の類似食品(植物性バーガー、「フィッシュ」フィレ、「チキン」パテ、「牛」ひき肉)、ナッツや穀物由来の乳製品(「乳」、「チーズ」、「バター」)、卵の代替品などが含まれます。これらの製品は本物に匹敵する外観、味、口当たりになるように作られたもので、植物性もしくはビーガン向けの調理済み食料に使われることもあります。
植物由来食品には、テンペ、豆腐、味噌など、ベジタリアンやビーガン向けの伝統食品も含まれます。また、一部の市場では植物性ペットフードも受け入れられつつあります。
植物由来食品メーカーは、食品業界全般の生産業者と同じ要件が求められ、同じ課題に直面しています。研究開発/品質管理部門は、製品の範囲を広げ、既存のレシピを改良することに重点的に取り組んでいます。味、一貫性、色、外観、香りを最大限に引き出す可能性のある新規材料を検査し、完璧な結果を目指して調理法を微妙に調整する場合もあります。計量システムやレシピ管理システムは、このような微調整に対応していなければなりません。それと同時に、食品メーカーは製造予算の達成、保存期間の最適化、市場投入までにかかる時間の短縮、規制要件の遵守にも取り組む必要があります。直感的な調合管理、正確で繰り返し性の高い計量、安全なデータの取り扱いを実現することが、メーカーが高品質な植物由来食品を求める消費者のニーズを満たすための植物由来食品の調合と品質管理に貢献します。
研究開発、製造、品質管理で信頼性の高いテストが必要な分野は、食品業界全般と同様です。入荷した材料に対してはUV-VIS、密度、屈折率、または植物由来食品のテストメソッドとの組み合わせによる計量、水分含有量テスト、純度測定が必要になることがあります。調合では計量、分注、水分率テストが必要な場合があります。製造では、水分含有量、融点/滴点、計量が役立つことがあります。出荷する製品に対しては、再度の水分率テストや品質管理が必要な場合があります。
もちろん、植物由来食品の成分申告を行う目的で、近似分析も重要です。ビッグ7とも呼ばれるエネルギー、脂質、飽和脂肪、炭水化物、糖分、たんぱく質、塩分は申告が必要な場合がよくあります。また、製品や地域によっては、アレルギー表示、および乾燥物質、水分含有量、灰分、食物繊維、ミネラル、ビタミンなどの測定に関する要件も重要です。メトラー・トレドは、このような重要な植物由来食品のテスト分野をサポートするラボ用機器を幅広く揃えています。
植物由来食品を開発する場合、さまざまなラボ用機器が必要になります。植物由来食品のテスト方法が適合していることを確認するには、複数の機器が必要です。品質管理要件を満たすために設計された機器もあります。
前述の通り、近似分析は重要です。これには、塩分や塩化物の含有量測定、ケルダール法によるたんぱく質の定量に役立つ滴定が含まれます。脂質の測定では、ほとんどの場合ソックスレー抽出が参照メソッドであり、これには天びんが必要です。植物由来食品の炭水化物含有量とビタミン含有量は、UV-VIS分光光度計で測定できます。水分計は乾燥物質や水分含有量の測定に役立ちます。また、カールフィッシャー滴定は、特定の水分含有量評価に使われます。これは保存期間と品質に重要な影響を及ぼすことがあります。天びんも、灰分や食物繊維含有量の測定に重要な役目を果たします。
この段階では調合も重要です。植物由来食品のレシピ開発は特定の原料の重量に基づいて行われますが、原料の多くは、最終製品やバッチに比べて少量であることがあります。ここでは、適切な原料を添加するのに役立つ適切な研究室用天びんと信頼性の高いトラック&トレース機能が必要です。これによってリワークと廃棄物の削減もできます。肉、乳、卵の類似製品の開発を目指す場合、ピペットを含むラボ用機器が通常よりも重要になることがあります。
前述の通り、植物由来食品の品質管理には、滴定装置、水分計、天びん、UV-VIS分光光度計、カールフィッシャー滴定装置、融点/滴点測定機器などの研究室用機器が重要になります。これには、植物由来食品(肉類似品など)の製造で一般的な納入品や個々の原料の管理も含まれます。メトラー・トレドは、高い精度で植物由来食品の原料の品質管理をサポートするように設計された堅牢な機器を揃えています。メトラー・トレドの堅牢なラボ用機器のラインアップは、一般的でない原料(発酵製品、新しい種子の粉末、微細藻類、マイコプロテインなど)を使用する場合には特に重要です。