全反射測定法（ATR法） は、構造/組成情報を取得するためにサンプルに光を取り入れるサンプリング方法です。 全反射測定法（ATR法）は、FTIRスペクトロスコピーで最もよく使用されているサンプリング技術の1つです。 ATR法が広く使用されている理由は、固体/液体サンプルを無溶媒で分析できるので、ほとんどすべての物質の測定を簡素化できるからです。
一般的に幅広く使用されているサンプリング方法である透過法と異なり、測定光路長はサンプルの厚さに依存しません。 ATR法は内部反射に基づく方法で、サンプルの光路長は、サンプルへの赤外線エネルギーの浸透深さに依存します。 固体サンプルの厚さは100ミクロンの場合も100mmの場合もありますが、記録される赤外線スペクトルは基本的に同じように見えます。 液体または懸濁液のサンプルがATR表面に接触すると、液体部分の赤外線スペクトルが記録されます。 この後者の現象が、全反射測定法（ATR法）が化学反応のモニタリングに非常に有効である理由です。
サンプル調製や希釈の必要なくスペクトルを測定できるので、 ATR法は固体/液体材料の分析に適用できることがわかりました。 ATR法の初期の用途の1つは、ポリマーサンプルとフィルムの赤外線（IR）スペクトルを取得することでした。 およそ25年前、DiCompダイヤモンドATR [1]技術が発明されました。これによりATR法の使用が、化学反応モニタリングを含む多くの新しいアプリケーションに拡大されました。
[1] Milosevic, M. Sting, D., Rein, A., “Diamond Composite Sensor for ATR Spectroscopy”, Spectroscopy, 1995, 10, 44-49
全反射測定法（ATR法）では、光エネルギーが2つの主要な特性を持つプリズム材料（ATRプリズム）を通過します。
選択したプリズム材料とプリズムの内蔵方法に応じて、反射またはノードの数を慎重に制御できます。 ATRプリズムの有効な光路長は、内部反射の数にエバネセント波の浸透深さを掛けて求められます。 各ノードで、エネルギーの定常波が表面に発生します。
このエネルギーは一過性です。プリズムの表面からの距離に応じて強度が低下するからです。 プリズムと直接接触する物質は、このようにしてエネルギーによって調べられます。
浸透の深さもエネルギーの特定の波長に依存するので、スペクトルを得るために変調放射線でサンプルをスキャンすると、ピークの位置は透過/吸光度スペクトルのそれと同じようなものになりますが、個々の帯域の強度は透過/吸光度スペクトルとは異なります。
ATR法（IR測定法）: 無溶媒または光学的に密な物質に最適
全反射測定法（ATR法）は、センサ内部反射を可能にするため、高い屈折率を持つプリズム材料を使用します。 選択したプリズム材料とプリズムの内蔵方法に応じて、反射またはノードの数を慎重に制御でき、光学的に密なサンプルによく一致する、有効な光路長を得られます。 プリズムと直接接触する物質は、エネルギーによって調べられます。 FTIRスペクトルの強度は、反射の回数、サンプルへの定常波の浸透深さ、サンプル内の対象分子の数、それぞれの吸収率に依存します。
光がサンプルを横断する必要がある透過技法と対照的に、FTIR ATRではサンプルの厚さは関係しません。 液体または固体サンプルの厚さは10ミクロンの場合も10㎝の場合もありますが、どちらの場合も、有用なFTIRスペクトルを取得できます。 ATR法は、有用なスペクトルを取得するためにサンプル調製や希釈が不要なので、幅広い化学反応の研究に最適です。 さらに、耐摩耗性があり、多くの化学薬品が関連する過酷な反応条件にも耐えられるATRセンサが利用可能です。
透過IRスペクトロスコピー: 有用なスペクトルを取得するために、通常サンプル調製が必要
液体の透過スペクトルを取得するには、赤外線透過の窓を備えたセルにサンプルを封入し、エネルギーがサンプルを横断する必要があります。 スペクトルの強度は、セルの光路長と分析対象の溶液に関連します。 サンプルの光路長が長すぎるか、サンプルに赤外線吸収率が高いまたは高散乱の溶媒/溶質分子が含まれる場合、エネルギーはほとんど赤外線検出器に到達しません。 これにより、ほとんどの化学反応の分析を透過モードで実行することが困難または不可能です。 正しい光路長が被験物質と一致する場合は、透過スペクトルが取得されます。 長い光路長のセルを構築できるため、透過IRスペクトロスコピーは、均一系触媒作用反応で低濃度の 有機金属 種を識別し、追跡するために役立ちます。 ほとんどの固体のIRスペクトルを取得するには、ヌジョール油中で混ぜ合わせる、加圧して臭化カリウムのペレットにする、 または材料の極薄片を用意することでサンプルを希薄化する必要があります。
全反射測定法は、化学反応をその場でリアルタイムに分析/監視するための FTIRスペクトロスコピー法 の理想的な補完方法です。 反応混合物は、通常、中赤外放射に対して光学的に密です。 ATRプリズムと接触している反応溶液への赤外線エネルギーの浸透の制限された深さにより、高品質のFTIRスペクトルを記録できます。
適切な材料で作られたFTIR-ATRプリズムは、プローブ型センサの終端に取り付けるか、フローセルの一部として取り付けられており、 バッチモードでも、連続フローモードでも反応を分析できます。 化学反応を分析するためのFTIR-ATRプリズムは、内部反射を可能にするため必要な屈折率を持つ必要がありますが、過酷な化学環境でも劣化することなく実行できる必要もあります。 ダイヤモンドとシリコンはどちらもFTIR-ATR分析のために優れたプリズム材料で、どちらを使用するかの選択は、試料の化学構造や追跡する必要がある赤外線ピーク位置に依存します。
ATRとFTIRが採用される場合、以下の利点が得られます。
FTIRによるスペクトル取得の速度と新世代の耐薬品性のATR技術の開発により、 この複合技術を使用することで、化学反応速度と機構的情報を取得する手段が大幅に変更されました。
ReactIR 702Lは、リアルタイムのin situ FTIRの機能性と操作の利便性を併せ持つ最初のシステムです。 ReactIRは、あらゆる研究者と実験を対象にしています。
ReactIRは夜間実験にも対応
ReactIR 702Lは固相冷却技術を使用してクラス最高のパフォーマンスを発揮し、液体窒素を必要としません。装置セットアップ時の安全性の確保、液体窒素の継ぎ足しを無くすことで、長期間にわたり化学反応のモニターが可能です。
ReactIRはすぐに測定開始可能
小型で段積みが可能な本体は様々な場所に設置でき、ドラフトチャンバー内のスペースを有効に活用できます。 「常時オン」の検出器は設定時間を短縮し、信頼性の高いデータ収集を即座に開始できます。
ReactIRはあらゆる反応に対応
センサはプローブ型（バッチ反応）とフローセル型（フロー反応）があり、気液相における反応もモニター可能となります。 目的に適した構成素材により、幅広い温度と圧力、酸性/腐食性の環境でもデータを容易に取得できます。
全反射測定法（ATR法）の一般的な適用例を以下に示します。
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