有機合成

有機合成に携わる研究者は、革新的な反応経路や、堅牢な化学プロセスを、できる限り短時間で研究開発することが以前にも増して求められています。 インラインプロセス分析技術（PAT）によって、研究者は反応速度、反応経路、およびメカニズムをより深く理解するために重要な情報を得る事ができます。反応に関する理解を深めることで研究者はプロセスを迅速に最適化およびスケールアップし、堅牢性やパフォーマンスを向上させることができます。  最近の刊行物や業界での適用例については、 アプリケーションライブラリを参照してください。 

研究者たちはin situ反応モニタリングを用いて新しいヒドロホルミル化/水素化反応における、触媒の活性と堅牢性を理解していました。 反応速度論解析、反応経路およびメカニズムの理解により、触媒性能の最適な条件を特定しました。

さまざまな反応に適用可能なin situ フーリエ変換赤外分光（FTIR）スペクトロスコピーは、リアルタイムで主要な反応中の化学種をモニタリングすることができます。反応の進行をモニタリングするように設計されたReactIRは、高温、高圧条件での反応など、オフラインサンプリングや分析が困難な状況下であっても、反応開始点、反応率、中間体、終点に関する情報を提供します。アプリケーションには、水素化、重合、反応性の高い反応、触媒最適化検討などがあります。

実験の計画を立てる際に最大限の情報を得られるよう、研究者たちは、多くの場合、 実験計画法（DoE） を用いています。 温度、溶媒、触媒、基質濃度など、反応条件を変えることによって、収率、純度、立体選択性などが最適化されます。   より少ない実験回数で、反応に影響を及ぼすファクターを効率的に検討するには、反応を制御し正確かつ高い再現性を有する条件下で実験を行う必要があります。このすべてを少スケールで自動化または半自動化できれば、すぐに最適な反応条件にたどり着くことができます。

小スケールの有機合成装置を使用すると、研究者は温度、撹拌、添加、pH制御を昼夜を問わず、実験を迅速かつ効率的に行うことができます。   自動有機合成装置と、自動サンプリング装置やin situ分析ツールを組み合わせれば、プロセス開発のレベルが高まり、反応経路、反応速度、反応の進行をより深く理解できるようになります。これらの装置は、使いやすく、高い再現性を有し、ソフトウェア制御とデータ共有により相互接続されます。

効率化された手法を用いて、どのように新規反応経路の開発と反応条件最適化を行ったかご説明します。4つのケーススタディでは、大手製薬会社がラボでの有機合成検討を改善した方法を紹介しています。

高い反応性を有する反応では有害な反応物、中間体、生成物が含まれる場合や、高い発熱反応を伴う場合も多くあります。高い反応性をうまく制御し、スケールアップするには、安全な運用条件を確保し、人体への暴露を最小限に抑え、各実験から最大量の情報を得ることが重要です。 反応性が高い反応の原料は多くの場合不安定であり、そのためにオフラインのサンプリングが制限され、in situ反応モニタリングが重要になります。 例としては、グリニャール試薬の合成などがあります。