ブリックス（Brix, ºBx）測定は、サンプル中の純粋なショ糖含有量を測定するもので、食品・飲料業界だけでなく、化学分野でもよく知られたアプリケーションです。Brix値は以下の式で表されます：

1Brix値（°Bx）＝スクロース1g/溶液100g

この公式は、どのようなサンプルにも当てはまるのでしょうか？オレンジジュースの12°Bxは12gの糖分に相当するのでしょうか？

実際には、必ずしもそうでありません。Brixは、清涼飲料水、フルーツジュース、トマト濃縮液のような物質や、切削油のような製品の糖分を測定するために使用されます。このため、特に異なる測定技術（比重計、屈折計、デジタル密度計）で得られた結果を比較する際に混乱が生じることがあります。

このページでは、ブリックス測定に使用されるBrixやその他の関連はかりに関する重要な知識を得ることができます。

1843年に開発されたボーリング（Balling）は、溶解固体濃度（主に醸造中の麦汁の糖分）を測定するために使用される最も古い測定単位です。

発酵プロセスを監視するため、醸造家は通常、ボーリングまたは類似の測定値（下記参照）を経時的に収集し、麦汁濃度を測定します。麦汁中の糖分は発酵中にアルコールに変換されるため、糖分濃度は時間の経過とともに徐々に減少していきます。これにより、醸造家はビールの最終的なアルコール度数を推定することができるとともに、醸造プロセスをさらに管理・分析することができるため、最終製品の安定した品質を確保することができます。

デジタル屈折計は、オペレーター依存をなくし、2秒で結果を出し、結果の信頼性を高めます。

プラトン度（Degrees Plato）は、プラトン・スケール（Plato scale）としても知られ、醸造中の麦汁中の糖分の含有量を測定するもう1つの尺度です。重量パーセント（% w/w）で表され、以下の定義で計算します：

プラトン1度＝エキス1g／麦汁100g

ビールには水、アルコール、そして主に麦芽に由来する「糖分」が溶けているため、ビールの発酵プロセスをより適切にコントロールするために、醸造者はこの溶けた糖分を測定する必要があります。

プラトン・スケールの温度基準は17.5℃であるため、比重からプラトンに変換するには以下の式を使用します：

P = 260 * ( 1 - (1 / 17.5℃における水溶液の比重))

エクスレ（Oechsle）は、ブドウ果汁のスケールで、主にドイツ、ルクセンブルク、スイスで使用されています。実際には エクスレには2つの定義があります：ひとつは「旧定義」と呼ばれるもので、比重に基づいています。 もう一方は「新定義」と呼ばれ、屈折率に基づくものです。 

「旧定義」のエクスレは次のように計算されます：

Oeo = 1000(sg - 1.0)

この場合、

Oeo (old) = エクスレ度
sg = 比重

「新定義」のエクスレは次のように計算されます：

Oen = 2639.22*nD - 3514.83

この場合、

オーエン（新）＝エクスレ度
nD = 屈折率

ボーメ計は、1768年にフランスの薬剤師アントワーヌ・ボーメが開発したもので、液体の比重を測定するための気泡計のことです。

この測定器は、同じ単位（ボーメ度；°Bé、Baume degree）と同じ装置（ボーメ比重計）で、あらゆる溶液の濃度を評価することができますが、物質の種類ごとに濃度を決定するためには、特定の表を使用する必要があります。現在、ビール、ワイン、蜂蜜、濃縮酸などの工業生産に使用されています。密度とボーメ度の関係は、これまで様々な方法で表現されてきましたが、現在では、16℃において、密度と溶液のボーメ度の関係は、以下の関係で定義されています：

• 水より密度の低い液体

比重 = 140 / (130 + °Bé)

• 水より密度の高い液体

比重 = 145 / (145 - °Bé)

ブリックスとボーメの関係は線形ではありませんが、この簡単な式で大まかな換算は可能です：

ブリックス度 = (°Bé x 1.905) - 1.6

ボーメ度 = (°Brix + 1.6) / 1.905

希望する温度でのサンプルの正確なボ ーメ測定結果が必要な場合は、卓上型デジタル密度メー ターが最適です。

ブリックスのほかにも、プラトン、ボーメ、エクスル、ボーリングなど、サンプル中のショ糖含量を示すための同等の計量単位があります。 以下の表は、各計量タイプの概要と、計量器に関する詳細情報を示しています。

あらゆる糖度測定の基本は、デジタル密度計やピクノメーターを使用する場合は液体サンプルの比重であり、デジタル屈折計や上記の手動による方法のいずれかを使用する場合は屈折率であることに留意する必要があります。

ブリックスの正確な測定は、飲料業界のコストと品質管理にとって非常に重要です。正確なブリックス値を特定することで、要求される最高の品質を確保できるだけでなく、コストを最適化し、毎年数千ドルを節約することができます。

光線が、ある媒質から光学的に密度の低い別の媒質に入射すると方向が変わります。入射角が大きくなるにつれて、密度の高い媒質から光が逃げなくなる臨界値に達します。この臨界角を超えると、全反射が起こります。屈折率はこの臨界角から計算されます。屈折は入射光の波長に依存するため、屈折率はナトリウムのD線の波長（589.3nm）を標準として測定され、nDで記号化されます。屈折率は測定する波長だけでなく、測定する溶液の温度にも依存します。

したがって、屈折率とブリックスには直接的な関係があります。測定された屈折率は、ショ糖含有量（°Brix / °Bx）に直接換算されます。

液体のブリックス測定値は、温度によって変動します。冷たいサンプルのブリックスは、室温の同じサンプルのブリックスよりも高く表示されます。そのため、正確なブリックス測定には温度を考慮する必要があります。誤差が生じやすい手計算を避けるため、温度制御されたデジタルメーターの使用を強くお勧めします。

ブリックスの1度は、溶液100g中のショ糖1gに等しく、ブリックス1%に相当します。したがって、両者に違いはありません：この場合、1°Brix = 1% Brix（重量/重量）となります。

屈折計は、ブリックスを測定するための最もシンプルで正確なツールです。

Brix（ブリックス）とは、比重によって液体中の溶存固形分量を示す尺度であり、特に溶存糖の測定に用いられます。ブリックスの1度は、100gの溶液中に1gのスクロースを含むことを意味します。

ワインにおけるブリックスとは、他のあらゆる物質と同様に、液体中の糖の量を意味します。ワインのブリックスは、ブドウが収穫される前にブリックスが測定され、糖分の含有量、つまり糖分が発酵された後のワインのアルコール度数を特定するために用いられます。ブリックスは、発酵プロセス中に少なくとも 1 日に 1 回測定する必要があります：変換の傾きをモニターすることで、ワインメーカーはワインの品質を最適化するためにプロセスの温度を調整することができます。

一見難解に見えますが、ブリックスは料理の世界、特にワインの製造に役立ちます。ワインの風味や特定の目的にもよりますが、一般的には約18～24°Bxが理想的とされています。

サンプルのブリックス濃度をコントロールする方法は？

良い蜂蜜は70～88ブリックス度の間でなければなりません。 しかし、蜂蜜の品質は、その水分含有量に依存します。というのも、水分含有量が高いほど、蜂蜜が腐敗する可能性が高くなるためです。AOAC 969.38標準によると、水分は20％以上であってはならないと規定されています。

CODEX STAN 247によると、 オレンジジュースのブリックス値は11.2～11.8であるべきであり、輸入国の国内法令で規定された値と一致すべきであるが、11.2未満であってはならないと定められています。ただし、国によっては、ブリックス値がこの範囲と異なる場合があります。ブリックス値が一貫して低い場合、国際貿易に導入されるこれらの国からの再構成果汁は、フルーツジュースおよびネクターの一般規格に記載されている真正性評価方法を満たし、ブリックス値が10°を下回らない限りは容認されます。

オレンジ果汁の酸度がブリックス値に影響することに注意してください。果汁には酸など他の物質も含まれています。これらの物質も屈折率に影響を与え、ブリックス値を下げる原因となります。したがって、ブリックス値は酸の影響を補正して正しい糖分含有量を表すように修正する必要があります

酸度と酸含有量測定の詳細については、こちらをご覧ください：ガイドをダウンロードする。

屈折計や 密度計でブリックス濃度を正確に測定する

ブリックスの1度は、100gの水溶液中の1gのスクロースとして定義されます。水溶液中の唯一の可溶性固体がスクロースである場合、1gの砂糖は値を1°Bx上昇させます。

独自のブリックス標準液を作るには？

ステップ1：蒸留水を用いて屈折計を確認します。これにより読み取り値がゼロになるはずです：もしそうならない場合は、装置を清掃して校正してください。

ステップ2：屈折計の表面がきれいで乾燥していることを確認します。

ステップ3：試験する溶液をプリズムに少量垂らします。数滴で十分です。

ステップ4：プリズムを光源に向けて接眼レンズを覗きます。太陽は見ないでください。

ステップ5：接眼レンズにピントを合わせ、青い色の秤量値がはかる位置を読み取ります。この読み取り値がサンプルのブリックスです。

ただし、古いタイプの屈折計でブリックスを測定する場合、いくつかのデメリットがあります：

• 測定範囲が狭い。広い範囲を測定するには、複数の屈折計が必要。
• 温度調節が行われない（正確さを保証するために、測定は厳密に20℃で行われる必要がある）。
• 測定者に依存するため、精度に限界がある。
• 測定プロトコルがない。

デジタル屈折計を使用すれば、より簡単で正確な測定が可能になり、ラボの生産性が向上し、時間とコストの節約につながります。

一般的に、ブリックス、プラトン、ボーリングという用語はすべて互換性があります。3つのスケールはすべて糖液の重量％を表し、この重量を比重に関連付けます。比重は、ある体積の液体の重さを、同じ体積の水と比較したものです。醪や麦汁のような水より重い液体は比重が1.000より大きくなり、アルコールなど水より軽い液体は比重が1.000より小さくなります。

最も古い尺度であるボーリングは1843年に制定されました。その後、ブリックスがボーリングの計算誤差を修正し、ブリックス値を発表しました。その後、1900年代初頭にプラトンとその共同研究者がさらに改良を加え、プラトン値を発表しました。基本的には同じですが、換算テーブルは、比重スケールの小数点以下5桁目と6桁目において、重量比率から比重への換算が異なります。

高フルクトース・コーン・シロップ（HFCS）は、主にフルクトースとD-グルコースを含むコーンスターチから抽出される液体甘味料です。HFCSは、飲料や食品産業でショ糖の代わりに使用されています。HFCSには、HFCS42、55、90重量比率という3種類の果糖レベルがあり、主に米国で使用されています。

甘味料として、HFCSはしばしばグラニュー糖と比較されますが、砂糖に対するHFCSの製造上の利点は、取り扱いの容易さと費用対効果にあります。

ブリックスとHFCSの含有量は、密度計または屈折計で測定できます。溶液中の純粋なショ糖/HFCS含量を測定する場合、どちらの方法でも同じ結果が得られます。

メトラー・トレドのDensity Meter Excellence D4や Refractometer Excellence R4のようなデジタル密度計や屈折計では、ブリックス度やHFCS %を直接測定することができます。どちらの測定方法でも、屈折率/密度をブリックス度またはHFCS %に自動変換することができます。どちらの測定方法でも、純粋なショ糖または純粋なHFCSを測定した場合に得られる結果は同じであり、相互に比較することができます。

ブリックス酸比とは、果汁のブリックス度（Brix）と果汁100gあたりの無水クエン酸のグラム数の比です。これは 果汁の品質と果実の成熟度の指標として最も一般的に使用されています。

まず、脱イオン水で屈折計をチェックします。結果は、20 °Cで0 % w/wまたは1.3332 nDになるはずです（許容誤差を考慮してください）。次に、測定方法が希望の温度でブリックスを測定するように設定されていることを確認します。約0.3 mLの試料を測定セルに加え、スタートを押します。数秒で結果が得られます。

まず、脱イオン水で密度メータをチェックします。その結果、20℃で 0 % w/w または 0.9982 g/cm³ となるはずです（許容誤差を考慮してください）。次に、メソッドが希望する温度でブリックスを測定するように設 定されていることを確認します。シリンジを使って測定セルに試料を約2 mL加え、スタートを押します。数秒で結果が得られます。