エポキシドまたはエポキシ化反応は、2つの炭素と1つの酸素が含まれる環ひずみ構造を有する三員環のエーテルです(オキシランなど)。 この構造の歪みにより、エポキシドは非常に反応性が高く、この官能基によりさまざまな反応が開始できます。
このため、エポキシドはポリマー、医薬品、ファインケミカルなどの有機合成に使用されています。 一般的なエポキシドとして、多くの用途を持つ2つの汎用化学物質、プロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)があります。
エポキシドまたはエポキシ化反応は、2つの炭素と1つの酸素が含まれる環ひずみ構造を有する三員環のエーテルです(オキシランなど)。 この構造の歪みにより、エポキシドは非常に反応性が高く、この官能基によりさまざまな反応が開始できます。
このため、エポキシドはポリマー、医薬品、ファインケミカルなどの有機合成に使用されています。 一般的なエポキシドとして、多くの用途を持つ2つの汎用化学物質、プロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)があります。
プロピレンオキシド(PO)
POは、ポリウレタンを生成するための試薬として使用されています。 エポキシドはポリオールに転化し、イソシアネートと反応してポリウレタンを形成します。 POは、開環重合によってポリプロピレングリコールも生成することが可能です。
塩化水素処理または有機過酸化物による酸化により、大量のプロピレンオキシドを生成できます。
エチレンオキシド(EO)
EOは、エチレングリコールの合成に使用されます。エチレングリコールの合成には、不凍液としての機能や、ポリエステルやポリエチレンテレフタレートなどのポリマーの製造など、さまざまな用途があります。 エチレンオキシドガスは、手術用機器の滅菌剤などの医学アプリケーションで使用されています。
エチレンオキシドは、塩化水素処理により大量に生成することができます。最近では、触媒の存在下、高温・高圧条件で酸素をプロピレンと反応させて生成しています。
オキシラン構造の合成は、二重結合を持つ試薬(アルケンなど)から始まります。 1つのエポキシ化メソッドでは、カルボン酸基に正電荷を持つ酸素が含まれるペルオキシ酸を使用します。 求電子酸素原子は基質分子の求核C=C結合と反応し、正電荷を持つ酸素原子が三員環オキシラン構造の一部として組み込まれます。 もう1つのエポキシ化はハロヒドリン合成によるものです。この方法では、C=C結合の臭化水素化または塩化水素処理により対応するハロヒドリンを形成します。 次に、これを水酸化ナトリウムなどの塩基で処理することにより分子内反応が起こり、エポキシドが生成されます。
オキシランのエポキシド構造は反応性の高い官能基を有するため、有機合成によく使用されています。エポキシドの開環はSn1またはSn2機構によって進むため、反応機構によって最終生成物の構造は異なります。つまり、反応変数に依存します。 Sn2開環は強塩基求核剤によって開始されます。 たとえば、 アルコキシドまたはグリニャール試薬 が求核剤の場合、置換アルコールまたはグリコールが形成されます。 反応が酸触媒で進む場合は水の存在下でエポキシドにSn1開環が発生し、この場合も置換アルコールが生成されます。 エポキシドを開環させるもう1つの求核剤として、アミノ基またはメルカプト基などが含まれる分子があります。 エポキシドは以下のように反応します。
開環共重合(ROCOP)によるポリカーボネートの合成や環状カーボネートの合成におけるエポキシドと二酸化炭素の使用については多くの研究が行われています。 これは、これらの化学物質の生成にますます多くの持続可能な化学的メソッドを適用してきた結果です。 ポリカーボネートの合成にはホスゲンとビスフェノールAの反応によるものが広く使用されています。 ホスゲンやビスフェノールAによる汚染や健康上の問題を考えると、温室効果ガス(CO2)を使用してポリカーボネートを合成できることは、「グリーンケミストリー」の観点からも非常に魅力的です。
CO2 とエポキシドの共重合によってポリカーボネートを形成するには触媒を使用する必要があります。 研究活動の多くが、合成条件最適化のための触媒の特定や、実用的な用途に合わせた物理/化学特性を持つポリカーボネートポリマーの生成に関連しています。 研究対象となっている触媒種としては1以下のようなものがあります。
ReactIR は、エポキシドとエポキシ化反応の研究に適しています。
開環重合(ROP)/共重合(ROCOP)など開環反応にin situFTIR分光法を用いた文献が、ポリマーと触媒に関する学術誌に数多く掲載されています。 ReactIRは、反応速度 の測定やROCOPの反応機構を調査するために使用されています。 この技術により、CO2圧と反応温度などの反応パラメータの関数として、CO2-エポキシドROCOPでのさまざまな触媒の有効性が確認できます。中赤外分光測定では環状カーボネート、ポリカーボネート、ポリエーテルを識別できるため、ReactIRを用いることで、エポキシド反応における生成物と副生成物の形成をモニタリングできます。 さらに、CO2-エポキシド反応は通常は高圧・高温で実施されますが、ReactIR in situプローブ技術を使用すると、実際の反応条件で測定し、反応の進行を連続的に追跡することができます。オフラインサンプリングのために反応を中断する必要はありません。
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Xu, Y., Lin, L., He, C.-T., Qin, J., Li, Z., Wang, S., Xiao, M., & Meng, Y. (2017). Kinetic and mechanistic investigation for the copolymerization of CO2 and cyclohexene oxide catalyzed by trizinc complexes. Polymer Chemistry, 8(23), 3632–3640. https://doi.org/10.1039/c7py00403f
著者らは、シッフ塩基配位子が配位結合した三亜鉛錯体によるCO2 とシクロヘキセンオキシドの効率的な共重合について報告しています。 インライン IRモニタリングによって、ポリカーボネートと環状カーボネート生成物の反応次数と活性化エネルギーを調べ、触媒とシクロヘキセンオキシドの濃度、さらにCO2 圧に対する反応速度の依存性についても評価しています。
反応速度データを取得するために、ReactIRでポリカーボネートと環状カーボネートのカルボニル伸縮振動(それぞれ1756cm-1と1827cm−1)の吸光度の経時変化を追跡しました。 触媒とシクロヘキセンの濃度を変化させた別の実験では、触媒とモノマーの両方がそれぞれの濃度に対する線形依存性を持つことを確認しました。 さらに、選択した圧力範囲ではCO2 圧力の反応速度次数も1であることを確認しました。 追加で実験を行い、ReactIR測定のデータを使用して、2つの反応生成物の活性化エネルギーを調べました。 アレニウスプロットから、ポリカーボネートと環状カーボネートの活性化障壁が、それぞれ17.8kJ mol−1と83.1kJ mol−1であることが明らかになりました。 著者らは、これらの実験で得られた情報から詳細な反応機構を提案しました。
Anderson, T. S., & Kozak, C. M. (2019). Ring-opening polymerization of epoxides and ring-opening copolymerization of CO2 with epoxides by a zinc amino-bis(phenolate) catalyst. European Polymer Journal, 120,109237. https://doi.org/10.1016/j.eurpolymj.2019.109237
著者らは、アミノ-ビス(フェノラート)二金属亜鉛錯体と共触媒により、エポキシドとCO2からポリエーテルとポリ(エーテルコカーボネート)を合成できることを報告しています。 合成されたポリマーの分子量や分散度などの特性は共触媒により決定されます。CO2がない場合、亜鉛錯体はシクロヘキセンオキシドを開環してポリ(シクロヘキセンオキシド)を形成します。
CO2とエポキシドの共重合では、ReactIRを使用して環状カーボネート、ポリエーテル、ポリカーボネートの吸収波長(1810cm-1、1089cm-1、1750cm-1)を追跡しました。 この系を最初にCO2で加圧すると、1089cm-1のバンドの存在からわかるようにポリエーテルが形成されます。しかし、直後に(20分後)ポリカーボネートの1750cm-1のバンドが現れ、18時間にわたって増加し続けます。 1750cm-1のバンドを追跡することで、ポリカーボネートの形成速度をCO2の関数として測定し、ポリカーボネートの初期形成の最適な圧力が20barであることがわかりました。 著者らは、高圧ではエポキシドの開環が律速段階であるのに対し、低圧ではCO2の挿入が律速段階になるという仮説を立てました。