ケーススタディ

質量差測定で、ミツバチの農薬に対する反応を測定

ヨーロッパのあるテスティングラボは、OECDガイドラインに従って、新しい植物保護製品に対するミツバチの感受性を追跡しています

ヨーロッパに拠点を置くある農業テスティングラボでは、新しい農薬と作物品種の安全性と有効性を判断するため、現地と実験室で調査研究を行っています。 収穫後試験の専門知識で有名なこのテスティングラボでは、ラボ、半野外、野外研究をカバーするGLP/GEP認定のテストシステムのポートフォリオを開発し、環境毒物学のほか、有効性と残留物試験に力を入れています。 

顧客が開発した新しい植物保護製品(PPP)を評価するための科学的リソースを提供し、健康的なミツバチの個体数の維持と野生種/作物種の両方の継続的な受粉を確保するため、このラボではPPPがミツバチの生存、生長、挙動に与える影響に焦点を当てています。

テスティングラボは、経済協力開発機構(OECD)ガイドラインに従って、さまざまなPPPパラメータを分析します。 これには、急性経口毒性/接触毒性(OECD 213/214)や、 10日間の経口暴露中の摂食行動のモニタリング(OECD 245)が含まれます。 これらすべての手順で、ミツバチは温度と湿度が制御された研究室に収容され、毎日同時刻に死亡率と挙動が記録されます。

各評価にとって、食物消費は重要な指標です。 挙動の指標となるだけでなく、安全なPPP暴露レベルの計算が可能になります。

しかし、2日以上にわたって、多数の物質の継続的なテストを並行して、それぞれ異なる濃度で何度も反復しなければならないため、ラボの科学者はデータの収集と管理を最適化することを望み、メトラー・トレドに支援を求めました。 Excellence計量機器とLabX®ラボ用ソフトウェアは、この活動をサポートするようになり、環境毒物学アッセイデータのトレーサビリティと収集効率を高めています。

詳細なデータ記録
科学者はミツバチの給餌前後に質量差測定を行って、摂餌量を特定します。各給餌インターバルの開始時にミツバチの生存数を記録し、反復ごとに処理あたりの給餌溶液の1日の平均消費量も記録します。 このデータを使用して、1日あたりのミツバチ1匹のPPPの平均摂取量と、アッセイ中の物質の累積摂取量を 計算することができます。

XSRミクロ分析天びん
XSRミクロ分析天びん

結果の自動キャプチャ

測定だけでなく、各データポイントの体系的な文書化を支援するために、メトラー・トレドの専門家は、XSRミクロ分析天びんを提案しました。 0.01mgの最小表示により、この天びんは、厳格な質量差測定結果に必要な高い正確性を容易に実現します。  LabXソフトウェアの追加により、 経時的に実験データをシームレスにキャプチャすることが可能となり、ラボの科学者は包括的なSOPを設計して、測定を標準化することができました。

新しいシステムの導入により、オペレーターの影響は削減され、退屈な手作業によるデータ入力もほとんど排除されました。 LabXは自動的に結果を計算し、レポートを生成するので、 科学者は別のタスクに時間を使うことができ、PPPの安全性が適切に判定されることを確信できるようになりました。
 

ミツバチの農薬に対する反応
ミツバチの農薬に対する反応

PPPの安全性と効率性を調査するための標準的な方法

急性経口毒性(OECD 213/214)を判定するために、ミツバチに研究室でサッカロース溶液に溶解されたテストPPP 物質を与えます。 48~96時間の死亡率を記録し、その後、LD50値が計算されます。

長期経口暴露中(OECD 245)は、幼虫に10日間にわたって連続的に不断給餌することによって、テストPPPを含む50%(w/v)のサッカロース水溶液に暴露します。 死亡率と挙動異常を毎日同時刻に観察し、記録します。 次に、PPPの経時的な影響を対照群に対して評価して、半数致死濃度(LC50)、半数致死量(LDD50)、無影響濃度(NOEC)、無影響量(NOEDD)を特定します。