Wanya Li, Peng Shi, Lina Jia, Yanxiao Zhao, Binqiao Sun, Mingtao Zhang, Junbo Gong, Weiwei Tang, “Eutectics and Salt of Dapsone With Hydroxybenzoic Acids: Binary Phase Diagrams, Characterization and Evaluation”, J. Pharm. Sci., (2020), 109(7), 2224-2236.
筆者は、抗生物質ダプソンとヒドロキシ安息香酸コフォーマーとの合成による、新しい多成分固体の形成について述べています。これらの固体の構造と特性について、X線回折、DSC、IR、ラマン測定により求めたところ、2,6-ジヒドロキシ安息香酸(26DHBA)によるDAPの新しい塩と、他のヒドロキシ安息香酸による4つの共晶が形成されていることが示されました。IRとラマン測定により、イオンの相互作用がこの新しい塩で起こることが示唆されました。
DAPと26DHBAの1:1の物理的混合物のIRスペクトルは、2つの個別な化合物のスペクトルから構成される相加スペクトルです。新しいDAP-26DHBA(1:1)生成物のIRスペクトルは、著しい変化を示しています。例えば、1677 cm-1の26DHBAのカルボニルが消失し、1386 cm-1の新しいバンドが生成物のスペクトルに現れ、イオン塩の形成が示されています。DAP-26DHBA(1:1)生成物のラマン測定におけるスペクトル変化は、IRの結果と一致します。さらに、DAP-SAL、DAP-3HBA、DAP-4HBA、DAP25DHBAの共晶のラマンスペクトル(サリチル酸(SAL)、3-ヒドロキシ安息香酸(3HBA)、4-ヒドロキシ安息香酸(4HBA)、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(25DHBA)、2,6-ジヒドロキシ安息香酸(26DHBA))は、それぞれの成分のスペクトルと一致し、共晶に新しい結晶相が存在しないことを示しています。