食品・飲料業界向け品質管理ガイド |
全世界の加工食品と飲料(F&B)業界は、2016年の市場規模が4兆6,000億ドルと見込まれており、広範な地域に及ぶとともに、食品製造および加工、品質管理、卸売り、流通、研究開発から標準や規制へのコンプライアンスまで、多岐にわたる段階を含んでいます。
食品・飲料業界の品質管理が重要な理由
食品安全性の規制(米国FDA、欧州ECなど)は、食品の扱いや販売に携わるすべてのメーカーに適用されます。また顧客は、食品が安心して消費できる製品だと信じて購入します。F&Bの品質管理規制に適合する高品質な製品を維持し、顧客の信頼を裏切らないために、メーカーやサプライヤは各自の製品の安全性や品質を検証できる必要があります。それは顧客のためばかりではなく、輸出先の市場や他社のためにも重要です。
原材料や中間および最終製品の品質を評価するには、複数の方法があります。評価対象の成分に応じて、以下の特性を調査し成分の純度や素性を検証できます。
- 融点
- 沸点
- 曇点
- 上昇融点
- 滴点
- 軟化点
融点、滴点など食品・飲料業界向けガイドのプレビュー
融点
融点は、固体から液体への相転移が起きる温度です。多くの企業が融点測定を利用して品質を評価し、原材料や製品の特性や素性の評価を行っています。F&B業界で使われる多くの添加物、例えば着色料や甘味料は、元の形は結晶性粉末であるため、融点測定による品質管理の有力な候補になります。
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沸点
沸点からは、物質の素性や純度に関する有益な情報を得られます。沸点は、液体が1気圧で気体になる温度です。液体添加物は、保存料、香味料、安定剤などとして食品や飲料中に一般的に使われています。各液体の沸点は固有で化学物質安全性シート(MSDS)に記載されている場合が多いので、メーカーは沸点を品質管理パラメータの1つとして利用しています。プロピレングリコールは非毒性、無臭、無色の液体で、食品の両方に一般的に利用されます。
曇点
食品・飲料業界では、多糖類または界面活性剤が加工補助剤、増粘剤、または安定剤として溶液に添加されます(表3を参照)。物質の曇点は、最適な加工温度および稼働温度を決めるために使用されます。生産プロセスでは、メーカーは均質溶液を得る問題に直面する場合があります。
溶液の曇点。54.0℃では、溶液は透明です。55.1℃では、溶液は濁り始め、曇点に達しています。
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上昇融点
上昇融点は、未加工の物質や脂質、油分、またはバターのようなワックス状の物質の特性評価に使用できます。ワックス状の物質は、従来の分析方法では応用が困難、または十分な情報が得られない物質でもあります。再生可能な天然原材料として、ステアリン酸、パーム油、それらの派生物質が、アイスクリームなど幅広い加工食品製品に使われています。
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滴点
脂質、アイスクリーム、メープルシロップなど複合成分を含む原料や最終製品は、明確な融点を示しません。温度の上昇とともに次第に軟化して大きな温度間隔で融けるこれらの製品は、滴点(DP)を使用して特性評価され、製品が業界標準や規制に適合することを確認できます。
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軟化点
軟化点は、幅広い温度範囲で融ける材料を特性評価するために使用できます。軟化点は、一定の重量化で物質が軟化し伸張する温度です。軟化点はF&B業界のさまざまな製品の品質管理パラメータとして使用されています。多様な樹脂やロジンは、チューインガムの製造などに使用されます。
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規格
規格 | アプリケーション | サンプル |
AOCS Cc 18-80 食用油脂の滴点 | 滴点 | 食用油脂 |
ASTM D6090 軟化点樹脂(メトラーカップ・ボール法) | 軟化点 | 樹脂 |
ISO 6321 動物性・植物性油脂 - オープンキャピラリチューブを用いた融点測定(上昇点) | 上昇融点 | 油脂 |
Ph.Eur. 2.2.14 融点 - キャピラリ法 | 融点 | 結晶性固体 |
USP<741> 融解範囲または温度 | 融解範囲 | 結晶性固体 |
メトラー・トレドの融点/滴点装置が準拠している国際規格と規範の完全なリストについてはこちらをご覧ください:www.mt.com/mpdp-norms