ハイスループット実験（HTE） – ロボットによる自動サンプル調製

ハイスループット実験またはスクリーニング（HTEまたはHTS）は、製薬業界で新規化合物の開発や医薬品候補の初期臨床開発に使用されています。1つの新しい分子実体（NME）が商品化されるまでに、数千の分子の合理的な探索が実施されます。市場に出るのは、候補の中のわずか1万分の1です。多数の化合物から少数の化合物へのこの大幅なシフトには、効率的なスクリーニングプロセスが必要です。NMEが検出されると、その分子特性と合成条件は、前臨床試験と臨床試験を受ける前に最適化されます。通常この作業は、製薬会社の化学、製造、管理（CMC）部門が実施します。一般的に、分子の合成時には多くのパラメータと因子を変化させることができるため、このプロセスでは膨大な量の試験が必要になります。

必要なスループットを達成するために、研究者はパラレル反応スクリーニングを頻繁に使用します。このメソッドでは、個々のバイアルをわずかに変化させた複数の反応をリアクタシステムで同時に実行できます。このような並行試験では、小型化と自動化がプロセスを加速し、生産性を向上させる強力な方法となります。
 

計量の自動化が重要な理由

サンプル調製はハイスループット実験ワークフローの最初のステップの1つで、通常は複数の粉体を計量して1つの製剤を調製します。特に試験対象となる製剤の数が多い場合、手作業による計量では手間や時間がかかり、エラーが発生しやすくなります。自動化し、ロボットによる自動粉体分注システムを使用することで、反応サンプルを正確に調製できます。
 

独自のCHRONECT XPR自動粉体分注プラットフォームは、反応スクリーニング用の粉体を調合するために設計された、ロボット粉体分注における最新技術です。粉体サンプルの無人計量と調製により1回の処理で最大288個のサンプルのハイスループットスクリーニングを可能にする方法をご確認ください。

ハイスループット実験の主な原理は並列化です。実験では、一般的である連続的な測定を行うのではなく、同時に行います。

ハイスループット実験によって反応の迅速な最適化と治療標的に対する化合物ライブラリのスクリーニングが可能になり、医薬品研究に革命がもたらされました。HTEの導入前は手作業の手順により、ラボのスクリーニングテストの能力は週あたり20〜50種類の化合物に限定されていました。たとえば、3000種類の化合物が含まれる化合物ライブラリでは1〜2年の試験期間が必要でした。自動化技術により、このようなスクリーニング実験が指数関数的に加速されます。HTEを導入することで、非常に多くの実験サンプルを、指定された条件下で迅速かつ厳格に並行して試験できます。1週間に800〜1000回のスクリーニング反応を行うことも珍しくありません。これによって、3000種類の化合物の仮想ライブラリのスクリーニングの所要期間を3〜4週間まで短縮できます。サンプル量が1 mlから100 μlに減り、試薬を大幅に節約できます。

HTEとコンビナトリアル化学のアプローチによって大量のデータが生成されます。データ、プロセス、標準、コンテキスト化、メタデータ、統合、DoEの管理は困難です。すべてのデータを完全に捕捉するためには、適切なソフトウェアと情報インフラストラクチャがきわめて重要です。

ハイスループットスクリーニングのために粉体サンプルを調製する必要がありますか？固体物質を自動的に計量し、反復的で時間がかかる手作業の手順を避けたいとお考えですか？または、自動ソリューションならではの微量の最小計量値を利用して、高価な物質の使用量を減らしたいとお考えですか？有害物質への暴露のリスクを減らし、ユーザーの安全性を向上させたいとお考えですか？このようなサンプル調製プロセスを自動化し、他の重要なタスクのために時間を空けることをご希望ですか？

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HTEのほとんどの課題は、処理するサンプル数が多いことと小型化が必要なことに起因しています。

• 何百もの反応サンプルを手作業で調製するのは面倒で時間がかかる
• 静電気を帯びた粉体を小口径のバイアルや容器に正確に量り取る作業は困難で時間がかかる
• 手作業によるサンプル調製中の危険物質の取り扱いやこぼれ落ちがユーザーの安全リスクにつながる
• 手作業によるデータの記録と転記ではミスが発生しやすい

全自動プロセスでは、CHRONECT XPR自動粉体分注プラットフォームにより、それぞれが最大32種類の粉体で構成される288個までのサンプル/製剤を一度に調製できます。

この独自のシステムは、XPR自動分注天びんの高度な計量と分注技術を、最先端の6軸ロボットアームや操作が簡単なCHRONOSソフトウェアに組み込んだものです。これまでにない精確さ、繰返し性、効率、柔軟性を提供します。CHRONECT XPRは、1 mgから数グラムの微細、乾燥、帯電、圧縮状、粒状、不均一の特性を持つ粉体物質を分注します。

プラットフォームの設置面積が小さいため、このシステムはあらゆるラボの作業台、キャビネット、グローブボックスで使用できます。

効率を向上

6軸ロボットアームにより非常に正確な多成分製剤と校正標準液を全自動で調製できるため、他の作業に時間を費やすことができます。

サンプル収率を最大化

XPR自動分注技術により、わずか1 mgのサンプルを最高の精度で分注できます。自動分注によりこぼれ落ちを最小限に抑え、貴重なサンプルの収率を最大化します。

柔軟に分注

CHRONECT XPRには、それぞれに容量1～20 mLのバイアルを15～96本収納できる3つの異なるバイアルプレートを収めることができます。最大32種類の粉体を収納するスペースがあり、柔軟な調合を可能にします。

完全な制御を維持

CHRONOSソフトウェアを使用すると、複数の多成分調合をスケジュールできます。分注プロセスはCHRONOSで直接モニタリングします。その後結果を分析することが可能で、必要に応じてエクスポートもできます。

CHRONECT XPRを使用した自動粉体分注は、すべてのラボで簡単、正確、安全に行うことができます。最小の目標重量であってもエキスパートユーザーは不要です。

当社のインフォグラフィックをご覧になり、ラボの自動化によってプロセスエラーを50%削減し、生産性を最大75%向上させる方法をご確認ください。CHRONECT XPR自動粉体分注プラットフォームを使用した自動計量の多くの利点を事実と数値でご覧いただき、ハイスループット実験（HTE）の準備でボトルネックを解消する方法をご確認ください。

スクリーニング用に調製が必要なサンプルが少ないアプリケーションでは、スタンドアローン型ソリューションとしてのXPR自動分注天びん、またはサンプルチェンジャーを装備したものをお勧めします。XPR自動分注天びんによる自動分注は、手動プロセスでは達成できないレベルの正確さとユーザーの安全性を提供します。

単一の固体物質を多数の風袋容器に分注する必要がありますか？XPR自動分注天びんとサンプルチェンジャーを併用することで、生産性とスループットを向上させることができます。これにより、1回の全自動処理で、同一の固体の粉体から最大30個のサンプルのバッチを調製できます。

LabX^TMラボ用ソフトウェアを使用すると、ステップごとのガイド付きワークフローを使用して製剤を調整できます。さらに、LabXは監査証跡のために厳密な分注量の電子記録を提供し、21 CFR part 11のコンプライアンスをサポートします。