不純物プロファイリングは、低レベル(通常は1%未満、理想は0.1%未満)で存在する特定の成分を検出し、定量することを目的としています。 不純物は不要な残留物で、反応中または反応後に形成されるものです。 残留物には無機化学物質、有機化学物質、残留溶媒などがあり、特定の製品の品質や特性、例えば有効な医薬品原薬(API)の効果などを規定する性質があります。
不純物プロファイリングは、低レベル(通常は1%未満、理想は0.1%未満)で存在する特定の成分を検出し、定量することを目的としています。 不純物は不要な残留物で、反応中または反応後に形成されるものです。 残留物には無機化学物質、有機化学物質、残留溶媒などがあり、特定の製品の品質や特性、例えば有効な医薬品原薬(API)の効果などを規定する性質があります。
不純物プロファイリングは、化成品研究開発のさまざまな段階で重要な役割を果たします。 有機合成 における不純物の形成を把握することは、不純物の形成を許容可能なレベルに減らしながら反応条件を制御、変更できるようにするために非常に重要です。 研究者は、これまでにない斬新な方法で不純物の形成や濃度を最小限に抑えることができます。 欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA)規制調和国際会議(ICH)などのさまざまな機関が、有機物、無機物、溶媒残留物の不純物の報告と管理の根拠を規制しています。 さらに、複数の規制当局が Quality by Design(QbD)の方法論を採用し、APIの発見、開発、製造における生成物とプロセスの品質向上を推進しています。
すべての研究者は、化合反応全体を通じてサンプリングを行っています。 このようなサンプルやアリコートは、反応の特定時点における化学組成を表すものです。 実験全体を通じてサンプリングを行い、続けてクロマトグラフィーや核磁気共鳴(NMR)などのオフライン分析向けにサンプルを調製します。 その後、オフライン分析で得られた情報を使用して化学反応の変化をプロファイリングし、そのときの濃度と反応率、収率、選択性の関係を時系列的に示します。 したがって、反応速度、不純物プロファイル、反応経路、反応機構などの側面を明らかにし、研究開発プロジェクトの基本的な情報を取得するために、サンプルは非常に重要です。
手作業でサンプリングを行うと、そのサンプルが特定時点における化学組成を代表するサンプルでない可能性もあります。 サンプルは、それが表すはずの反応パラメータや化学的環境を必ずしも示すとは限りません。 通常、化学反応は、サンプルをさらに処理、変性、またはクエンチするまで続きます。 このような背景から、再現性を上げ、代表的なサンプルを自動で取得できるようにEasySamplerが開発されました。
無人自動サンプリングソリューション、EasySamplerを利用すると、正確で再現性の高い、プロセスを代表するサンプルを採取できます。 EasySamplerはユーザーが定義した時間に反応サンプルを自動的に採取し、反応条件で即座にサンプルをクエンチします。 最後に、EasySamplerはユーザーが指定した濃度までサンプルを希釈します。 in situサンプリング、クエンチ、希釈を組み合わせた特許取得済みの革新的な技術により、不均一混合物、空気や水分に敏感な反応、加圧状態や毒性をともなう条件下での反応であっても、高品質なサンプルが保証されます。
正確で再現性のある不純物プロファイリングは、新薬申請にとって非常に重要です。 生成物の純度は、原材料、反応の種類、反応経路、精製工程などのいくつかの要因に左右されます。 化成品開発の初期段階から、不純物の形成を測定し、その特徴を知ることは重要です。 有機合成の不純物生成を許容レベルまで減らしたり回避したりできるように反応の条件を変更または制御できます。 医薬品規制当局は、製造プロセスの堅牢性を示す手がかりとして不純物プロファイリングを使用しています。
スラリーサンプル、加圧下、空気や水に敏感な反応、また多相の反応から信頼性の高いサンプリングを行うことは、多くの場合困難で手間がかかります。 さらに、多くの反応は長時間に及ぶことや遅い時間から開始されることがあり、このような場合、不純物プロファイリングや反応の全過程を通じて切れ目なくサンプリングすることが困難になります。 結果として、サンプリングに時間がかかる場合、またはプロセスを代表するサンプルの取得が困難な場合は、サンプリング数が限られ、サンプル間のばらつきが発生します。 継続してサンプリングできなければ、反応率、収率、不純物レベルを含む反応プロファイリングを達成できなくなります。 自動サンプリングを使用すると、正確で再現性の高いサンプルを継続して得ることが可能なため、少ない回数の実験で高品質の情報を得ることができ、その結果、革新的な化成品開発のための迅速な意思決定を行うことができます。
2つのアプリケーションノートで、Janssen Pharmaceutical社とServier Pharmaceutical社による、反応の進行に影響を与えない反応サンプリングの方法について説明します。
酸素に敏感な反応のサンプリングは困難で手間がかかります。また、完全なデータセットを得るためには、通常は何度も実験を行わなければなりません。手動でサンプリングを行うとリアクターに酸素が入り、反応の進行が不安定になります。さらに、手動サンプリング中に空気が入ることでサンプルが変化します。これらの要因は反応サンプルの反応速度、正確性、完全性に影響を与え、一貫性のない低品質のデータにつながります。 このようなタイプの反応からもプロセスを代表するサンプルを自動的に取得できる機能により、正確で完全なデータセットが提供されます。この結果、反応速度を正確に分析し、プロセスを代表する不純物プロファイルを生成することで、不純物形成の速度とメカニズムを理解できるようになります。さまざまな情報が得られる実験によって生産性が向上し、コスト削減と実験回数の減少にもつながります。
Pfizer社のDavid Place氏は、触媒に白金を用いたC-H活性化反応のケーススタディを右図のように紹介しています。酸素に敏感なこの反応は、リアクター内のヘッドスペースの酸素濃度が5000ppmに達すると、反応時間が50%長くなります。 反応を最適化するには、反応速度プロファイル、不純物の形成メカニズムを理解し、適切な反応終点を見極める必要がありましたが、リアクター内部へ酸素を入れずにサンプリングを行うことは困難でした。
この反応では(上の反応式)、EasySamplerのin situサンプリングを使用して24時間で12個のサンプルを取得し、UPLCで分析しました(グラフを参照)。 24時間で収集したデータから観察すべき不純物の相互関係がわかり、特に反応サイクルタイムを短縮する必要性がわかりました。反応率と不純物プロファイルから、生成物の量が最大に達するポイントである8時間後に反応系を102℃から20℃にすばやく冷却し、不純物Des-CN(不純物1)の形成を回避する必要があることがわかります。 混合物を長時間攪拌し続けると、副生成物が突然形成され、その後の作業では容易に取り除くことができません。 この情報に基づき、研究者は、反応時間と不純物レベルの相関関係をつきとめるためのプロセス中の制御をすばやく設定することができます。
プロセスを代表するサンプルを無人で取得できる自動有機合成装置は、研究室における化学者の作業方法を変える装置です。 設定は直感的で、実験はいつでも開始できます。夜間の無人運転も安全に行えます。無人の制御と連続的なデータの収集により、反応プロセスの理解、技術革新、そして十分な情報を取得したうえでの意思決定といったメリットが研究者にもたらされます。
以下に、研究者による不純物プロファイリングに関する論文のリストを示します。これらはデータ豊富な実験をサポートし研究活動を後押しするものです。
不純物プロファイリング特集記事