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熱分析アプリケーションマガジン UserCom 28 (日本語版)

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UserComは、熱分析に関わる研究者向けのアプリケーションマガジンです。

熱分析 UserCom 28(日本語版)
熱分析 UserCom 28(日本語版)

熱分析 UserCom 28内容

TAのヒント

  • TGA/DSC による高温における熱容量測定法とその応用( 第二報)

ニュース

  • クアントス: 微量サンプルのための自動粉体分注装

アプリケーション

  • DSC によるオリーブオイルのキャラクタリゼイション
  • DMA 3 点曲げモードにおける測定パラメータの検討
  • TMA によるゴムシール材のクリープ挙動及びガラス転移の測定

DSC によるオリーブオイルのキャラクタリゼイション

オリーブオイルはフライに使用可能でしょうか。これらの製品に最適な貯蔵法とはいかなるものでしょうか。このような質問に対しまして、本論文では各種測定条件でのDSC測定結果を基に、どのような解答が得られたかについて検討しましたので紹介します。ここではOIT 及び OOT測定により酸化安定性を評価を行いました。また同時に結晶化及び融解挙動についても検討しました。

はじめに

酸化安定性は各種製品の寿命及び品質の評価する上で重要な基準の一つになっています。酸化安定性の測定法としてOIT( 酸化誘導時間 Oxygen IndexTime)[1] 又は OOT( 酸化オンセット温度Oxidation Onset Temperature)[2] があります。OIT 測定はある一定温度で酸素ガスフロー雰囲気中で測定されます。測定サンプルが初めて酸素に暴露されてから酸化オンセットが始まるまでの所要時間がOIT となります。一方、OOT 測定は更に迅速に行われます。すなわちOOT 測定は酸素中で動的加熱により測定されます。従ってOOT は測定サンプルの酸化が始まる温度、すなわち酸化オンセット温度として定義されます。

OIT 測定の利点としてはOOT 測定よりも再現性の良い結果が得られていることが上げられます。またある特定の温度で得られたOIT 測定結果は酸化安定性に関して重要な意味を与えてくれることになります。更に高圧DSC を用いることにより、酸素濃度を上げて高圧で測定することが可能になります。この高圧酸素雰囲気下では酸化反応をより低温で迅速に行わせることが可能になると言えます。またOIT 及びOOT 測定は標準型のDSC装置を用いても非常に簡便に行うことができる測定法となっています。

本報では食品工業に用いられている食用油( オリーブオイル) のOIT 及びOOT測定を行いました。またオイルの結晶化及び融解挙動の特徴についても合わせて検討を行いました。

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文献

[1] ASTM E-1858 Standard Method for Determining Oxidation Induction Time of Hydrocarbons by DSC.
[2] ASTM E-2009 Standard Test Method for Oxidation Onset Temperature of Hydrocarbons by DSC

DMA 3点曲げモードにおける測定パラメータの検討

3点曲げモードでは、メソッドに最大変位と荷重増幅量に加えてオフセット荷重を決定しなければなりません。本報ではオフセット荷重とその他の測定パラメータを決定するための有効な手順について紹介します。また3点曲げモードで得られた弾性率の不正確さについて評価を行いました。

はじめに

セラミックス、金属及び複合材料等のDMA 測定では3 点曲げモードで測定することが多いと言えます( 図 1 参照)。このモードではサンプルはオフセット荷重( 前もって掛ける一定に荷重) をかけることにより、クランプ冶具に保持する必要があります。このオフセット荷重(FS)はサンプルにかける正弦荷重幅(FA) よりも大きくなければなりません。もしオフセット荷重(FS)がないか、正弦荷重幅(FA) よりも小さい(FS<FA) 場合には、サンプルはクランプ冶具から外れてしまいます。3 点曲げモードではオフセット荷重は通常定電流オフセットとして標準装備されています( 詳細は次節を参照)。

本報では 3点曲げモードの測定パラメータをどのように決定したらよいかについて紹介します。また3 点曲げモードで得られた測定値の不正確さについて評価を行いました。

図1: 3 点曲げモードにおけるオフセット荷重FSを用いたサンプルの保持、荷重の概念図上図: オフセット荷重なしの場合 サンプルに荷重がかからない部分が出る下図: オフセット荷重が有る場合 FS>FAの時のみサンプルに正常な正弦荷重がかかる
図1: 3 点曲げモードにおけるオフセット荷重FSを用いたサンプルの保持、荷重の概念図上図: オフセット荷重なしの場合 サンプルに荷重がかからない部分が出る下図: オフセット荷重が有る場合 FS>FAの時のみサンプルに正常な正弦荷重がかかる

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TMAによるゴムシール材のクリープ挙動及びガラス転移の測定

本報では二種類の異なるタイプのエラストマーのクリープ及び粘性挙動の解明に熱機械分析法(TMA)がどのように応用可能であるかを紹介いたします。測定は各種の等温クリープ法、回復測定法及び熱的刺激クリープ(TSC)測定法を用いて行いました。これらの測定法はガラス転移や他の緩和や挙動(例えば可逆的な流動緩和)などの高感度測定を行うことが可能になります。エラストマーの弾性変形や粘性流が測定可能となります。実験しましたエラストマーにはSBR(加硫度の異なるスチレン-ブタジエンゴム)及びカーボンブラックの配合量の異なるEPDM(エチレン-プロピレン-ジエン ゴム)を用いました。

はじめに

固さ、ガラス転移、クリープ、粘性流などの特性はエラストマーがシーリング材に使用される場合には、特に考慮すべきより重によって要な物性となっています。

物質の固さは粘性及び弾性によって決まります。また圧力または負荷によって変形量を予測することができます。ASTMD 1329 に規定されている試験法ではガラス転移などの測定により、エラストマーの低温でのシーリング特性を調べるために良く用いられます。クリープ特性とは、ある負荷又は歪を受けた時に、時間及び温度依存する物質の弾性及び塑性変形のことを表しています。荷重により生じる時間依存性のない弾性変形はクリープによる変形とは見なされません。可逆的なクリープ緩和により起こるクリープ変形とは応力を下げた場合や取り除かれた場合に、時間とともに回復する変形のことを指します。このことはシーリング材に応用する場合には有用な特性となります。しかし粘性流動により永久歪と形状変化を起こすために、しばしば製品不良の原因になってしまうことがあります。

従って熱機械分析TMA を用いて、等温クリープ試験、回復測定、熱刺激クリープ測定を行うことにより、これらの熱特性が迅速に検討ができますので、TMA は有効な分析手段になります。本報では加硫度の異なるSBR とカーボンブラックの配合量のことなるEPDM のTMA 測定結果の詳細について紹介いたします。

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ノウハウ