熱分析 UserCom15内容
TAのヒント
- DMAカーブの解釈、パート1
ニュース
- STARe V7.00
- アプリケーション集
アプリケーション
- トナーの熱分析
- リソグラフィー・プロセス中のレジンのキャラクタリゼーション
- ポリオレフィン混合物の定量的分析
- IsoStep™ による硬化反応の調査
- 硫酸銅五水和物の熱分解
- TMA-MSによる層間剥離と発泡の調査
トナーの熱分析
はじめに
最新のレーザープリンターや複写機で使用されるトナーは、実際には、流動助剤、顔料、紫外線安定剤その他の添加物などの多様な成分が配合された熱可塑性プラスチックのベース材料から構成される複雑な混合物です。ベース材料のガラス転移温度と添加物の融解温度と融解エンタルピーがトナーの特性になります。これらの物性は、特に示差走査熱量計(DSC)と動的熱機械分析装置(DMA)による熱分析によって容易に信頼性の高い決定を行うことができます。本論文では、トナーサンプルの測定に、この2つのテクニックを使用して得られた結果と情報を比較する方法について説明します。この作業は DSC821e と DMA/SDTA861e によって実行しました。
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リソグラフィー・プロセス中のレジンのキャラクタリゼーション
はじめに
Laboratoire d'Electronique de Technologie et d'Instrumentation (LETI)は、半導体産業(集積回路用トランジスタ)でのリソグラフィープロセス用の感光性樹脂の応用を専門にしています。絶えまなく進むトランジスタの微細化は、おびただしい技術的進歩の影の推進力になっています。現在可能な最高の解像度では、孤立した線で線幅4nm、高密度パターンの線で60nmが達成可能です。
こうした限界は、おおむね現在使用される様々なレジン成分に起因するものと考えられます。したがって、現在の課題は、20nmの解像度が得られる新しいレジン配合(化学増幅レジスト、いわゆるCAR)を開発することです。
CARは、ポリマーマトリックス(2種類のポリマーのコンビネーション)、フォトアシッドジェネレータ(PAG)、及び、所望する物性によって異なるその他添加物から構成される多成分混合物です。CARの物性を向上するには、生産プロセスを最適化する必要があります。それには、CARの各成分の物理化学的挙動とそのプロセスに対する影響を理解する必要があります。LETI-LTM(Laboratoire de Technologie Microelectronique)と" Laboratoire de Thermodynamique des SoIutions et des Polymeres"は、この研究分野で協力しています。リソグラフィープロセスの解像度に対する各種のレジン成分の影響を調査するために温度変調DSC、FTIR及び厚み測定テクニックが用いられます。ADSCの主な利点は、ガラス転移温度とリソグラフィープロセスに関連する熱効果(蒸発と架橋)を1回の測定で決定できることです[1]。(P.25)
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文献
[1] Resolution limit of negative tone chemically amplified resist used for hybrid lithography. Influence of the molecular weight. L. Pain, C. Higgins, B. Scarfoglière, S. Tedesco, B. Dal’Zotto, C. Gourgon, M. Ribeiro, T. Kusumoto, M. Suetsugu and R. Hanawa. Journal of Vacuum Sciences and Technology. B., 2000, 18(6), 3388.
ポリオレフィン混合物の定量的分析
はじめに
プラスチック混合物は、包装廃棄物からプラスチックをリサイクル際に発生するプラスチック材料の最大の割合を占めています。これらの混合したプラスチックは、主に、ポリオレフィン、すなわち、ポリエチレンとポリプロピレンから構成されています。材料リサイクルの目的のために、溶解によってこの部分を処理することが可能です。融解によるリサイクルは、実際には、通常の溶融過程によって得られるものよりも優れた物性を持つリサイクル材料が得られるプロセスです[1] P.31。
しかし、再生可能な材料物性を備えた高品質の材料を製造するためには、ポリオレフィン材料をその個別の成分、すなわち、低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)及びポリプロピレン(PP)に分離できる新しい方法を開発する必要があります[2]。P.31
もちろん、リサイクルプラスチックの組成が分離効率の尺度です。したがって我々は、ポリオレフィン系サンプルの組成を決定するメソッドを開発しました。このメソッドでは、DSC測定を使用し、ポリエチレンとポリプロピレンだけではなく、高密度と低密度のポリエチレンを識別するという点で特に興味深いものです。
このメソッドの基本原理は、(サンプル組成から求められる)質量分率によってポリオレフィン系サンプルの(融解カーブで測定される)融解エンタルピーと関係する成分の標準融解エンタルピーを記述することにあります。
しかし、混合物の融解カーブを純粋な融解カーブの総和によって正確に記述することはできません。補正係数を導入する必要があります。それは、既知の組成を持った一連のポリオレフィン系サンプルの測定結果から反復法によって決定されます。
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文献
[1] Klein, F., “Verfahrensentwicklung, Werkstoffeigenschaften und Wirtschaftlichkeitsbetrachtung für das Kunststoffrecycling über Lösen von Mischthermoplasten.”, Schriftenreihe Kunststoff-Forschung Band 48, Technische Universität Berlin.
[2] N.N., DKR im Blick 03/2000, Deutsche Gesellschaft für Kunststoffrecycling mbH
IsoStep™ による硬化反応の調査
はじめに
硬化反応は、高分子材料の製造に重要な役割を果たします。いわゆるプリプレグとコーティング以外に、特に複合材料にはここで言及するだけの価値があります。複合材料は、その機械的物性と軽さゆえに重要な材料区分です。通常これは、硬化した樹脂で結合されたガラス繊維または炭素繊維材料から構成されています。樹脂と繊維は、この材料にその特徴的な物性を与えています。複合材料は、しばしば安全性が大きな重要度を持つ分野、例えば、飛行機及び自動車の構造材料に使用されています。これは、樹脂の硬化挙動を精密に監視してキャラクタリゼーションをしなければならないことを意味しています。
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硫酸銅五水和物の熱分解
はじめに
新しいメソッドを習得するとき、その挙動が良く知られていて特定条件下の記録がある系を測定するのは良い考えです。CuSO4・5H2Oの熱分解はその好例であり、初心者は問題なくTGAカーブの解釈ができます。
実験の詳細
この測定は、Inficon Themostar QMS質量分析計(質量レンジ1-300)を接続したTGA/SDTA851e(レンジ:5g;分解能1μg)によって実施されました。
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TMA-MSによる層間剥離と発泡の調査
はじめに
熱機械分析(TMA)は、サンプルの寸法の変化を温度の関数として測定します。TMAと質量分析計(MS)をオンライン接続すれば、分解ガスと発泡剤と、それらのサンプル寸法への影響を同時に測定できます。例えば、プリント配線基板の層間剥離を調査して、特定の分解生成物が形成されるときの温度を決定したり、膨張または発泡によるプラスチックの挙動を追跡したりすることが可能です。TMAをガス分析装置(MSまたはFTIR)に接続すれば、熱分解プロセスによって生じる寸法変化を迅速に調査し、発泡プロセスを最適化することが可能になります。メトラー・トレドのSTAReのTMA/SDTA840を、TGA-MS接続とほぼ同様の方法で加熱キャピラリーによってInficon Themostar QMS300質量分析計(質量レンジ1-300)に接続しました[1]。P.42
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文献
[1] Evolved Gas Analysis, Collected Applications for Thermal Analysis, Mettler-Toledo GmbH (2001), page 5 and following pages