一流シェフ、Max Eichmann氏はスイスにある彼のレストランで分子料理の特徴を持つフランス料理を提供しています。彼が創作したすばらしい料理の1つにフルーツジュースキャビアがあります。この繊細な一品を作るために10年以上にわたって彼が信頼を寄せているのは、メトラー・トレドのマルチチャンネルピペットです。
Max Eichmannのキッチンでは、ピペットは必須アイテムです。
Eichmannシェフのレストランはゴー・ミヨで18点、ミシュランで1つ星を獲得するほどの名店でした。ところが2003年、慌ただしくもグルメをうならせてきたキッチンから退き、まったく新しいコンセプトのレストランに手を貸すことを決めました。「レストランに来るゲストは、3~4種類の前菜と、料理が7皿も出されるコース料理を本当に食べたいのか疑問に思い始めたのです。どのお皿もごちそうでいっぱいでした。それで、ゴー・ミヨとミシュランに連絡し、これからはレストランを評価してほしくないと知らせたのです」と、名シェフはその理由を説明します。彼がゲストからの賛辞を得たいのは新鮮で質の高い料理であり、審査員の厳しい格付けにさらされるという別のプレッシャーとは無縁の料理なのです。
アルギン酸塩や塩化カルシウムなどの化学添加物は分子料理の鍵となる要素です。
イノベーションを探し求めて
シェフとして新たな段階に足を踏み入れたEichmannシェフは分子調理法の実験を開始し、そこで初めてできたのがアップルキャビアでした。フルーツジュースとアルギン酸塩を混ぜたものを、塩化カルシウムの入ったボウルに少しずつ垂らします。「最初はシングルチャンネルピペットを使っていました。しかし、予想通りこの作業は非常に退屈で、しかも一人分を作るのに何時間もかかってしまいました」
まさにこの理由で、キャビアを調理するのにもっとシンプルなやり方を探す必要がありました。医療業界にいる知り合いの勧めにより、すぐにオンラインでマルチチャンネルピペットを検索し、メトラー・トレドを見つけました。「ピペットを注文したとき、女性の販売員は少し驚いていました」と、シェフは思い出して笑います。「今まで、ピペットを飲食店に納品したことがなかったんでしょうね」レイニンの8チャンネルピペット への投資は非常に価値のあるものになりました。彼はこのピペットを使い続けて今ではもう10年以上になりますが、特にこの直感的な操作性には感心しています。アップルキャビアの極上の味については言うまでもありません。「どうしてキャビアでなく、シンプルにリンゴを食べないのかと言うかもしれませんが、ぱさぱさしたリンゴにかじりついたら、歯の間にはさまってしまうかもしれませんよ。このキャビアについては、リンゴの風味がほぼ完璧なできあがりです。すべて分子構造のおかげです」と語ります。
分子とフランス料理
この名シェフも分子料理メニューだけを提供していた時期がありましたが、今では料理の1つの要素となっています。フルーツキャビアや「スノーボール」(窒素で作ったヨーグルト)はデザートとして根強い人気を保っています。しかし、前菜やメイン料理については、より伝統的なフランス料理にこだわり、上質な食材を使った季節ごとのメニューを提供しています。5月にはアスパラのサラダをメニューに載せ、夏の間は天然の鮭といった具合です。再び料理を創作するつもりはなく、メニューを開くといつでもおいしいものが食べられる、という料理を目指していると言います。
Max Eichmannはゲストを喜ばせるために窒素を使っています。自宅でくつろぐときには、大好物の仔牛のレバーやハッシュブラウンポテトなどの伝統的な料理を楽しんでいます。
ヨーグルトとクワルクからできた「スノーボール」は、レストランの名物分子料理の1つです。
継続的改善
今、Eichmannシェフが重視していることは、次世代のシェフの育成と自分自身のスキルの向上です。「弟子がキッチンを離れるときには、それほど料理が上手くなったと思うなとアドバイスしています。常に、改善すべきことや覚えるべきことはたくさんありますからね」