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- 「校正」の本来の定義とは?なぜ「校正」すべきか?
- 計量器校正より得られる利益とは?
- どれくらいの頻度で計量器を校正しなければならないか?
校正しないことが及ぼすリスクとは? - 計量器の校正に採用されるべき許容管理幅(トレランス)は?
- 校正と調整の大きな違いとは?
- 取引証明の目的で導入した特定計量器に、校正は必要か?
- 測定の不確かさが非常に重要な地用は何か?
- 精確な(精密で正確な)質量測定の結果を確保するには?
- 校正をしていない機器を使用するとリスクがあるのはなぜか?
- 校正サービスを行う際にメトラー・トレドを選ぶべき理由とは?
- 点検用分銅を取り扱う正しい方法は?
- 校正実施の間隔の合間に日常点検は必要か?
1. 「校正」の本来の定義とは?なぜ「校正」すべきか?
2つ目の疑問については逆に「校正されていない計量器で測定結果を保証することはできるのか?」という問いにつながります。天びんやはかりの校正は、精確な計量結果を得るために必要な作業です。この重要な行為を怠ると、測定は推測でしかなくなります。言い換えると、校正されていない計量器で計るのは過失でしかありません。計量器の精確さ(精密で正確な状態)は時間と共に信頼性が低下しますこれは、通常の使用、機械的衝撃や有害な据付環境などが及ぼすごく自然な経年変化や可動部の摩耗に起因します。これらの経年的な変化は時が経過するとともに測定結果の劣化を更に加速させます。定期的な計量器の校正と、適正な頻度でのユーザー点検を計画することで、計量器の寿命と測定の精確さ(精密で正確な状態)を大幅に向上できます。
しかし、「校正」本来の定義とは何でしょうか?端的には、校正は定量比較です。計量器の読取値を確認するには、参照となる標準分銅を計量皿に載せます。誤差とは、測定された量の値(表示値)から参照値(標準分銅)を引いたものです。この誤差が信頼できるものかどうかについての解説は以下をご覧ください。天びんの校正を終えると証明書が作成され、そこには天びんやはかりの表示値の報告や標準値との比較が示されます。適用される許容誤差により合否の判定が行われます。
2. 計量器校正より得られる利益とは?
校正は、国家認証機関により認証された供給者により行われることで以下の利益が得られます
- コスト、経費の節減校正された計量器を使用することにより、無駄な廃棄、リワーク、リコールの発生を回避するための適正な決断が可能となります。
- 信頼できる測定結果校正された計量器の使用は、別々の場所で測定された結果の整合性を確保できます。また、全ての計量器が校正されることにより、プロセス内の質量測定の結果は、最終的に製造される製品同様、精確(精密で正確)で、信頼できる結果となります。
- コンプライアンス校正(証明書)は内部や外部監査のスムーズな対応をサポートするエビデンスとなります。
- 経年劣化に対する適格性の評価すべての計量器は時と共に劣化し、主要部品は機械的ストレスを受け摩耗します。ドリフトを常に完璧に回避することは出来ませんが、定期的な校正を通して検出、補正が可能です。
- プロセスと利益改善校正結果と設定した許容管理基準(許容管理幅)の関係を適正に把握することで、より厳しい基準の見直しと、より高い利益率の確保が可能になります。
3. どれくらいの頻繁で計量器を校正しなければならないか?校正しないことが及ぼすリスクとは?
校正証明書は、校正が実施されたときの結果を報告します。多くの場合、計量器の管理責任者は、校正は1年程度有効であるのではないかと推測されます。この様な推理は、1年が校正期間として適正であるという誤った判断につながってしまいます。
理想的には、校正頻度は次の様なリスクに基づいた方法、例えばまず何かがうまくいかない可能性はどれくらいあり、その影響はどれほど高いか?を定義します。影響力が大きく、誤った測定が発生する可能性が高い質量測定は、高いリスクがあると判断し、この様な測定を行う計量器は校正間隔を短くする必要があります。これに対して、影響力が少なく、誤った測定が発生の可能性が低い質量測定は、低いリスクと判断し、この様な測定を行う計量器は校正を行う間隔を長めに設定することができます。
「校正を行わない」という判断は、ハイリスクで(危険度が高く)信頼できない管理方法と言えます。校正されていない計量器」に潜在する目に見えない隠れた過剰なコストと高いリスクは、校正作業そのもののコストをはるかに超えます。また「校正がされていない計量器」の使用は、プロダクションにおける製造管理、品質管理上で次の問題を引き起こします。
- 予想外(想定外)のプロセスダウンタイム(製造停止)
- 製品品質の劣化
- プロセスにおける問題と監査による問題の指摘
- リワークとリコール問題
また、据付環境の変化は、検出され難いドリフトや偶然誤差の発生を誘発し、性能の劣化につながります。定期的に第三者により行われる計量器校正とユーザーによる日常点検(以下参照)が、質量測定の質に関連するリスクを低減するベストプラクティス(最善な管理)と言えます。
4. 計量器の校正に採用されるべき許容管理基準(トレランス)は?
許容管理基準(「許容管理幅」または「トレランス」)とは、計量器の測定結果が測定プロセス全体に求められる水準に対して「十分許される」と受入れられることができる判断基準でなければなりません。許容管理幅は、合否判定の基準を確立します。許容管理幅(許容管理基準)は、取引証明の基準、メーカートレランス、測定プロセス自体に求められるプロセストレランス等、様々な基準より設定されます。
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計量法のトレランス(許容誤差)は消費者が保護されるものであり、固有のプロセスの要件(要求)が考慮されたものではありません。プロセスにとって最適な許容管理幅となるプロセストレランスを適用された計量器は、質量測定プロセスより得られる生産性と利益性に大きな影響を及ぼすことが出来ます。
5. 校正と調整の大きな違いとは?
これらには重要な違いがあります。大きな違いがあるにも関わらず、「校正」と「調整」は、なぜかしばしば混同されてしまう傾向が高いです。
校正
国際度量衡局(BIPM)を議長とし、ISOを含む8つの国際組織により構成された計量計測関連ガイドに関する合同委員会(JCGM)が、国際計量計測用語(VIM)を発行しました。その中の項目2.39には、計量器を取り扱う観点から「校正」が定義されています:
「指定の条件下において、第一段階で、測定標準によって提供される測定不確かさを伴う量の値と、付随した測定不確かさを伴う当該の指示値との関係を確立し、第二段階でこの情報を用いて指示値から測定結果を得るための関係を確立する操作。」
言い換えると、計量器は、どの様に反応し、読取られるかの特性を理解し文書化するために校正されます。先の定義は、「測定の不確かさ」を求めることが「校正」に欠くことのできない必須な部分であることを明確に述べています。「測定の不確かさ」が求められていない天びん校正結果は不完全であり、よくてスポットチェックにしかなり得ません。
調整
「校正」が計量器の反応と読取の特性を示す行為であることに対し、計量器の調整とはその反応と読取の特性を変えます。調整は、VIM(国際計量計測用語)において以下の通り定義されます:
「測定しようとする任意の量の値に対応して所定の指示値を示すように、測定システムに施す一連の操作。」
このため、計量器を調整すると言うことは、測定標準(標準分銅)より提供される定量値ができる限り読取値に反映できる様に読取値を変更する行為を意味します。
6. 取引証明の目的で導入した特定計量器に校正は必要か?
計量法の趣旨は公正な商取引および証明行為を保証することによる消費者の保護です。はかりが取引証明または計量法で管理される用途で使用される場合、国内の計量法に従い、据付、検証、封印(シール)されなければなりません。
検査結果を評価する場合、OIMLまたはハンドブック44に基づく許容誤差が合否判定の評価基準となります。これらの評価基準はきわめて大きな誤差が許容されるため、余分な原料、材料が許容誤差の範囲内に含まれ、取引が行われるというリスクも非常に高いということに繋がります。この様なリスクは、認定された専門技術員にはかりを校正してもらい、独自のプロセストレランスを適用することで避けることができます。要は、校正は計量法において義務付けられていないが、校正することで利益を守ることができます。このアプローチによる利益:
- 計量プロセスを改善しながら計量法への準拠を維持できます
- 取引される原料、材料の廃棄が最低限に抑えられるため、より高い利益の確保ができます
7. なぜ「測定の不確かさ」が(計量器校正に)重要な要素なのか?
「測定の不確かさ」が含まれない計量器校正は、校正ではないという現実があります。「測定の不確かさ」は「校正」に不可欠な要素であり、また「測定の不確かさ」は測定結果に対して疑いの幅(範囲)を適格に評価します。「測定の不確かさ」が証明されない限り、校正は不完全となります(校正ではありません)。
「測定の不確かさ」には、計量器そのものの特性、校正に使用された標準分銅の不確かさ、据付環境、オペレーター、その他のバラつきを発生させる要素が全て含まれます。EURAMET cg-18校正ガイドラインは世界のもっとも広範囲な国々で参照される公的文書で、非自動はかりの「測定の不確かさ」を求める方法論の詳細が含まれます。
8. 精確な(精密で正確な)質量測定の結果を確実には
精密で正確な質量測定の結果はいくつかの重要なサービス活動の蓄積が必須となりますが、これらの活動は3つのシンプルなステップに集約できます。校正に加えて、日常点検をすることで計量器の精確さ(総合精度)を継続的に改善できます。校正は認定された専門技術員により実施されますが、日常点検は機器のユーザーにより実行されます。また、日常点検は測定プロセスの要件を外れる可能性を早期に検出します。日常点検が、リスクを意識した十分な頻度で行われると、なんらかの問題が発生する前にプロセストレランスからの逸脱となりそうな状況を事前に検出できます。
以下のインフォグラフィックでは、認定された専門技術員が行う据付作業と定期的な計量器の校正作業を示しています。ユーザーによる日常点検の頻度は、整備、校正作業に比べて頻度は高くなります。
9. 校正をしていない機器を使用するとリスクがあるのはなぜか?
適切に校正された天びんでは、精確な計量結果を得られ、時間の浪費や無駄な出費の原因となる計量ミスの可能性を減らすことができます。校正を行うということは、正しい計量結果を保証するための投資になります。また「校正がされていない計量器」の使用は、プロダクションにおける製造管理、品質管理上で次の問題を引き起こします。
- 予想外(想定外)のプロセスダウンタイム(製造停止)
- 製品品質の劣化
- プロセスにおける問題と監査による問題の指摘
- リワークとリコール問題
また、据付環境の変化は、検出され難いドリフトや偶然誤差の発生を誘発し、性能の劣化につながります。定期的に第三者により行われる計量器校正とユーザーによる日常点検(以下参照)が、質量測定の質に関連するリスクを低減するベストプラクティス(最善な管理)と言えます。
10. メトラー・トレドがなぜ校正パートナーとして、適正ですか?
メトラー・トレドのソリューションと高度な技術力は全世界のお客様から信頼されています。
メトラー・トレドの技術的な専門知識への信頼
メトラー・トレド認定の専門技術員は、定期的な技術講習と電子講習の受講により、ご提供する技術水準を維持します。専門技術員による校正は、スイス本社により定義された標準操作手順(SOP)に従ったグローバルで認められた校正です。校正提供者として、全世界の各事業所で使用される校正専用ソフトを共通化することで、技術員や場所は関係なく、統一された校正証明書の発行を可能にしました。校正手順は、校正ソフトウェア上で校正作業と入力情報が限定された状態でガイドされているため、作業の再現性、トレーサビリティ、精確さが確保された校正証明書をご提供できます。
メトラー・トレドのグローバルなサービスネットワークへの信頼
メトラー・トレドは、質量測定を必要とされる業界の中で最大規模のグローバルサービス体制を確立しています。各エリア(地域)毎に担当者を赴任させているため、迅速な対応を責任をもって行うことができます。
メトラー・トレドのイノベーション力への信頼
メトラー・トレドの革新的な校正ソリューションは、お客様のプロセスの品質強化を目標にしています。メトラー・トレドの校正サービスは、設定された経緯が不明確な、過去に定められた基準ではなく、計量プロセスに重視し、プロセスの最適化により得られるお客様の利益の拡大をサポートします。
11. 点検用分銅を取り扱う正しい方法は?
分銅は、計量器の点検時に最もよく使用される、最も重要な測定標準です。分銅を清潔にかつ、精確に保つための対策:
- 専用収納ケースに保管すること
- 天びんの使用環境で保管されること
- 丁寧に取り扱うこと
- OIML/JISが推奨するクリーニングを実施すること
- 重い分銅を運ぶ際には、専用冶具を使用すること
- 使用前に表面の傷の有無を確認すること
これらの対策を取ることで、測定で発生する不確かさを最低限に抑え、リコール、リワーク、廃棄処理にかかる精確なるコストの発生を未然に防ぐことができます。
12. 前回の校正から次の校正までの合間に日常点検は必要か?
はい。日常点検は、計量器の定期的な性能検証として必要であり、また製造プロセスの品質維持を確保するためには必須とされる行為です。計量器の校正は認定されたメーカーの専門技術員により実施され、計量器の日常点検は計量器ユーザーにより実施されます。日常点検は、質量の測定プロセス要求に適合しなくなる予兆の検知をサポートします。もし、適正な頻度で、適正な管理手順により日常点検が行われた場合、許容基準(トレランス)の逸脱や規格外の発生を事前に検知することができます。