一般的な滴定では、滴定液と被検物質を液体(溶液)にする必要があります。通常、固体サンプルは水に融解しますが、石油化学など特殊なアプリケーションでは氷酢酸またはエタノールなど他の溶媒を使用する場合もあります。
滴定のサンプル調製ノウハウ
以下の表には、個別のサンプルの特性に応じて滴定サンプルの調製に最適な技術が示されています。
サンプルの特性 | 調製 | サンプリング技術 |
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粉体 | 溶媒(有機/無機)に溶解 | 重量法、直接計量 |
ペースト状、クリーム状、またはねばねばするサンプル | 溶媒(有機/無機)に溶解 | 重量法、直接計量 |
潤滑液、オイル | 溶媒(有機/無機)に溶解 | 重量法、直接計量 |
精肉、鮮魚 | 酸性溶液で消化 | 重量法、直接計量 |
水などの低粘性溶液 | 緩衝液が必要 | 容量法 |
滴定サンプルの調製は、米国薬局方(USP)、国際標準化機構(ISO)、米国材料試験協会(ASTM)などによる多くの標準的な滴定試験方法で重要な要素になります。大半の標準では、必要な計量の正確さのレベルが規定されています。
例えば、ASTM D664 Standard Test Method for Acid Number (AN) of Petroleum Productsには、推奨されるサンプル重量と必要な計量の正確さが含まれています。
酸価 | 測定試料の質量(g) | 計量の正確さ(g) |
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0.05~1.0未満 | 20.0 +/- 2.0 | 0.10 |
1.0~5.0未満 | 5.0 +/- 0.5 | 0.02 |
5~20未満 | 1.0 +/- 0.1 | 0.005 |
20~100未満 | 0.25 +/- 0.02 | 0.001 |
100~260未満 | 0.1 +/- 0.01 | 0.0005 |
基数、臭素価など各種パラメータの測定方法として滴定を使用する、さらに多くのASTMメソッドがあります。これらのメソッドでは、サンプルサイズが標準の重要な要素として規定されています。例えば、ASTM D974、D2896、D1159などがあります。
滴定の正確なサンプル調製の課題
サンプルとデータの処理
滴定は、研究室での一般的な技法として比較的簡単に実施できます。一方で、同じ被検物質や異なる被検物質による複数のサンプルを扱う場合は、サンプルとデータの処理が難しくなります。サンプルにラベルを貼付し、すべての測定を正しいサンプルに対して正しく記録することが非常に重要になります
特に以下の点に注意が必要です。
- 手動のデータ記録プロセスで生じる転記ミスの固有リスク。
- 正確に読みやすくラベルを貼付し、天びんから滴定装置にサンプルを移す際にサンプルの混同を避ける。
- 天びんから滴定装置への計量結果の正しい入力。
正確さと時間
正確な滴定結果を得られるかどうかは、滴定サンプルの正確な調製に大きく依存します。正確なサンプルサイズと関連する計量の正確さを規定しているいくつかの標準では、滴定アプリケーションのニーズに適合した天びんを使用することが非常に重要です。
少量のサンプルでは、天びんの最小計量値を考慮する必要があります。これを下回るサンプルの計量では、必要な正確さのレベルを確保しているという信頼性を得られません。毎日多数のサンプルを検査する多忙な研究室では、短時間で安定する堅牢な天びんによって、オペレーターはディスプレイ上の数字が安定するのを待ち続けることなく、業務を順次進めることができます。サンプルデータ、計量値、滴定結果を手書きで転記する場合は、時間がかかりミスが起こりやすくなります。
清掃
滴定装置と計量機器を隅々まできれいに保つことは、クロスコンタミネーションを防ぐために重要です。汚れたサンプルまたは粘りがあるサンプルでは、計量と清掃に手間がかかります。
安全な計量と滴定プロセスのためのソフトウェアソリューション
メトラー・トレドのExcellence分析天びんをLabXラボ用ソフトウェアに接続し、最高レベルの自動データ処理とプロセスセキュリティを得ることができます。天びんのタッチスクリーンから滴定アプリケーションが直接起動し、画面上の指示に従うだけで操作できます。LabXではすべてのデータと計算が自動で処理され、すべての情報が集中的なデータベースに安全に保存されます。
基本計量
LabXに接続したExcellence天びんは、計量を必要とする滴定タスクの専用入力ポイントとなります。タスクを選択するだけで、LabXには手順に沿った天びん操作の指示が表示されサンプル計量プロセスをガイドします。生産性を高めるため、別のサンプルの計量中に滴定を開始することもできます。
柔軟な操作性
機器またはPCから分析を開始し、現在のサンプル分析と最新の結果に常にアクセスできます。居場所を問わず、LabXのメール機能によりメッセージや結果を受信できます。
SmartCodes™
正しいメソッドの選定とバーコードまたはSmartSample™ RFIDによるサンプルIDの転記を完全に自動化できます。これにより、サンプルの検査ごとに情報を読み取ることでサンプル順序の誤りをなくし、製品ごとに正しいメソッドの選定を確認できます。
法規制コンプライアンス
LabXサーバーの規制オプションには、FDAのデータ管理と保存の規制(21 CFR Part 11)に適合するために必要なあらゆるツールが含まれています。機器またはPCで実際に行われた操作がすべてLabXの監査証跡に記録され、作業場所を問わず完全なトレーサビリティを維持し記録を柔軟に利用できます。