多くの化学プロセスは発熱をともない、一定量のエネルギーを放出します。放出されるエネルギーを即座に除熱できないと、温度が上昇します。温度一定条件で行われるプロセスであっても、目標温度とのわずかな差異が見られます。このような温度変動は、反応速度論とプロセス安全性に対して重要となる場合があります。一時的な温度変化は物理的な変化による場合もあれば基質の添加速度、発熱速度、プロセスの動的特性、リアクタ容器によるものもあります。このような挙動の発生は、温度制御や加熱/冷却能力の制約も原因になります。これは、反応が速く強力で、発熱が冷却能力を上回る場合に起こります。この状況が発生する場合、一定量の熱が一時的に蓄熱され、再び徐々に放熱されます。結果的に、当初はリアクタ内温度が上昇しますが、反応の終了時には当初の目的温度に戻ります。
化学プロセスのスケールアップでは、温度変化とそれにともなう反応による蓄熱を把握することがプロセスの安全性を理解する上で重要になります。このホワイトペーパーでは、化学反応における温度変化を伴う反応をどのように評価するかについて解説します。研究室とパイロットプラントの両方の例を使用して、次の質問にお答えします。
- 蓄熱はなぜ、どのようなときに起きるか
- 蓄熱は重要な検討課題か、それはどの程度重要か
- 蓄熱の評価が正しくないと、どのような影響があるか