熱分析 UserCom 18内容
TAのヒント
- 各種熱分析手法によるガラス転移温度測定パート2:ガラス転移温度の決定
ニュース
- 新しいサーバ互換性 V8.10 STARe ソフトウェア
- DMA 計測機器用小型引張サンプルホルダー
- 新しいHSS7 DSC センサー
アプリケーション
- 成層圏内のプロセスに重要な水系の二成分状態図の決定
- 複雑な反応の反応速度論研究パート1:モデルフリー反応速度論
- 高融点セラミックの熱分析
成層圏内のプロセスに重要な水系の二成分状態図の決定
はじめに
地球、特に南極と北極の成層圏オゾンの破壊は、過去25 年以上にわたって深刻な問題として認識されてきました。この現象は、地表からのクロロフルオロカーボンの放出とリンクしており、クロロフルオロカーボンは対流によって時間が経つにつれて(約5 年ほどで)成層圏の中層から上層に移送されます[文献:1 P.27]。ここで、短波長紫外線照射の作用によってクロロフルオロカーボンは光分解されて遊離塩素ラジカルの放出を伴う解離を起こします。
例
CF2Cl2 + hv → CF2Cl + Cl (1)
遊離塩素ラジカルは、その後、メタンと反応してHClを生成したり、オゾンと反応してからNO2と反応して窒化塩素を生成したりします:
CH4 + Cl → CH3 + HCl (2)
Cl + O3 → ClO + O2 (3)
ClO + NO2 → ClONO2 (4)
[…]
文献
[1] Molina, M. J.; Rowland, F. S. Nature, 1974 , 249, 810.
複雑な反応の反応速度論研究 パート1:モデルフリー反応速度論
はじめに
モデルフリー反応速度論(MFK)は、化学反応を記述するための優れたメソッドであることが立証されています[文献:1-4 P.35]。MFK をダイナミックDSC 測定に適用するには、この反応を3 段階以上の異なる反応速度で測定する必要があります。MFK は、反応メカニズムが昇温速度によっては変化しないことを前提としています。大半の実験の場合、この条件が満たされています。例外は「高温硬化」系の架橋反応が考えられます。材料は、反応中にガラス化する可能性があります。すなわち、液体からガラス状態に移行します。反応速度論は、(液体状態の)反応律速から(ガラス状態の)拡散律速に変化します。本論文では、このような反応の同定と記述にMFK を使用する方法について紹介します。ビスフェノールA のジグリシジルエーテル(DGEBA)とハードナーまたは硬化剤としてジアミノジフェニルメタン(DDM)から構成される二成分型エポキシ樹脂を使用して実験を行いました。本論文は、二部構成の研究の第一部です。
この第一部では、複雑な硬化反応の調査とMFK によるエバリュエーションについての実験的アプローチを検討します。
第二部[文献5 P.35]は、反応速度論に対する透化の影響を記述するMFK の拡張について発表します。
[…]
文献
[1] J. de Buhr, UserCom 2 (1995) 7.
[2] METTLER TOLEDO, UserCom 5 (1997) 9.
[3] METTLER TOLEDO, UserCom 8 (1999) 1.
[4] S. Vyazovkin, UserCom 10 (1999) 9.
[5] J. Schawe, UserCom 19 (2004).
高融点セラミックの熱分析
はじめに
高融点セラミックは、現代では多種多様な目的に利用されています。これは伝統的に溶鉱炉や焼結炉の構造材に使用されています。セラミック材料の生産には出発原料の慎重な管理が求められます。本稿では、耐熱炉内ライニング材料製造のための典型的な出発原料のキャラクタリゼーションに熱分析を利用する方法についてご紹介します。サンプルの主成分はMgO です。サンプルはそれ以外に、有機炭素化合物(1.5%)、グラファイト(10%)、SiO2 (1.5%)、CaO(1.5%)、Fe2O3 (1.1%)、金属アルミニウム(2.1%)を含有しています。測定はInficon Thermostar QMS[四重極型]質量分析計(質量範囲1-300)を連結したTGA/SDTA851e とDSC822e を使って実施しました。
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