ラボデータ管理が非常に重要な理由は、情報を適切、安全に保存し配布することが保証される点にありますが、多くの場合、効果的な管理システムを導入することは容易ではありません。このガイドでは、組織はなぜデータを戦略的なビジネス資産として扱うべきなのか、どうすれば管理手法を最適化できるのかについて説明します。
このガイドは、製薬、食品・飲料、バッテリー、化学薬品など、厳格な規制対象の業界かどうかを問わず、さまざまな業界でラボデータ管理に携わるすべての方々に有益な情報を提供します。またこのガイドは特に、データを取得、解釈、配布するためのプロセスやシステムの設計に携わる分析研究者の方々に役立ちます。各章の解説内容を以下に示します。
データ管理とは?
ラボデータ管理の強固な基盤は、定義と目標を理解することから始まります。また、企業が規制要件や企業ポリシーを満たす上でデータ管理がいかに役立つかについても説明します。
データ、情報、知識
効果的なデータ管理を実現するには、何がデータ、情報、知識として適格かを理解する必要があります。これらには、製薬から食品に至る幅広い業界で個々に利点があります。ガイドでは、データインテグリティと品質の違いについて、それらが研究やお客様の目標をどのようにサポートするかについても説明します。
データ管理の原則
データ管理成熟度(DMM)モデルにより、分析プロセスを示すことができます。ガイドでは、DMMモデルのさまざまなレベルを検証し、このモデルがデータ管理をいかに改善するかについて概説します。また、データを記録する3つの方法について詳しく比較し、電子ワークフローの利点を提示します。
有効なデータ管理プログラムの構成要素
ラボデータ管理を成功させるプログラムには、組織のトップから始まり、連携して機能する6つの主な構成要素が含まれています。これらの各要素について詳しく説明します。
- 上級管理職の関与
- データのガバナンスと所有権
- 分析プロセスのあらゆる側面の理解
- 規制や規格の遵守
- 研究室のデジタル化によるスピードと正確さの向上
- 電子システムによる容易なデータ共有
研究室のデジタル化の原則
デジタイゼーションとデジタライゼーションは同じように聞こえますが、別の概念です。これら2つを区別する要素として、デジタライゼーションがプロセスの効率性と生産性をいかに向上させるか、なぜ従来のデータ管理方法よりも優れているのかについて説明します。さらに、データ管理を強化するための適切な製品と統合を選ぶ際のガイダンスも提供します。
ラボのデータ管理、リスク、課題
効果の薄いデータ管理システムは、特にディスクの故障やマルウェア、ソフトウェアの問題などのリスクに直面した場合に、深刻な問題を引き起こす可能性があります。強固なラボのデータ管理の確立を難しくする要素を個別に説明し、導入を成功させるための6つのカギをご紹介します。
将来のデータ管理
ラボデータ管理は、今後大きく変わるかもしれません。さまざまな業界の組織は、人工知能の採用、新しい規制への対応、トレーサビリティの向上など、これからも独自の変化に対応する必要があるでしょう。