甘さと酸味の相乗効果
ブドウは、品種ごとに熟す期間が異なりますが、その期間に太陽エネルギーを糖分として蓄えます。アルプスの北側では南側に比べて日照時間が少ないため、ここではミュラー・トゥルガウなどの早熟な品種が多く栽培されています。アレネンベルグも同様で、3ヘクタールを超える敷地内でミュラー・トゥルガウの他にピノ・ノワールとケルナーが搾られています。Peter Mössner氏は、「ブドウの各品種の最適な成熟度はワインの出来を左右する最も重要な要素のひとつなので、成熟度を常に監視することが必要になります。乾燥した晴天では、ブドウの糖度が急上昇しブドウの重量が急減します」と話します。
生育中のブドウに含まれる果糖の濃度を測定する単位は、国によって異なります。 Density2Goでは、ニーズに合わせてOechsle(エスクレ)度、Brix(ブリックス)値など各種の単位で測定できます。基本的に、熟したブドウほど糖度が高くなります。その値は、ワインのアルコール度数に関わる情報となります。なぜなら、発酵中に糖分がワイン酵母によってアルコールに変わるからです。日照時間が少ない北部地域では、果糖の含有量が高いことが品質の証になります。しかし、糖度が高いとブドウの酸味が減ります。上品なフルボディのワインでは、まさに甘みと程よい酸味のバランスが重要になります。このため、最適な収穫時期を判断するには、ワイン醸造家の経験と直感が必要なのです。
密度測定による糖度判定
知識に加えて、正確な測定データが欠かせません。昨年来、ワイン醸造家のPeter Mössner氏は最高のスイス品質を誇る携帯型密度計Density2Goを活用して糖度を測定しています。 Mössner氏は、「Density2Goは軽くて携帯しやすく使いやすい」と話します。片手で操作しやすいDensity2Goを使えば、ブドウ畑での作業が楽になります。「測定するには、数個のブドウをつぶして、その果汁を小さな容器に入れるだけです。この装置で糖度を測定する時間はほんの数秒です。」
ワイン醸造でのDensity2Goの用途はさらに広がります。この小型デバイスは発酵のモニタリングにも大きな役割を果たします。収穫されたブドウは、果皮や種、茎などが混ざったマスト(もろみ、発酵前の状態)に粉砕されます。そしてブドウのマストをワインセラーで1〜2週間発酵させます。次にセラー・マスターのMössner氏は純粋な酵母培養液をマストに混ぜます。酵母によって糖分がアルコールと二酸化炭素に変わります。これは、注意深い観察が必要なデリケートなプロセスです。発酵が速く進むほど、二酸化炭素によってより豊かな風味が引き出されます。一方で、想定外の発酵中断は避ける必要があります。 セラー・マスターは、必要に応じてすばやく対処できるように、糖度の低下を毎日測ります。そのために彼が選んだ道具、それがDensity2Goです。
アレネンベルグ・ワインヤードでのワイン製造については、 ビデオをご覧ください。